高層ホテルのエレベーター
乗り合わせたひとたちが 目的の階で停まる度 おりていく


エレベーターの中
2人きりになると夕子はリオの腕に絡みつく


「やっとリオを今夜ひとり占めできるわ
ねえ 朝まで部屋にいてね・・・」


『…ん?それって泊まっていけってこと?』


狭い個室のなかの照明に
リオのBLUE EYEが妖しく光る


「ダメなの?」


『気分次第かな・・』


「気分って…」


『ほら 到着』


ドアが開くと
夕子の腕を解いてリオは先に歩き出す


「ねぇ リオ どんな気分になったら
ずっといてくれるの?」


先を歩くリオの腕を掴み
駄々をこねる子供のように同じ台詞を繰り返す


『○○○○号室 ここだね』


部屋の前 リオは立ち止まり

やれやれ困った猫ちゃんだと
拗ねた目の夕子の顎を撫ぜた


『夕子が欲しいと思ったら ずっといるさ〜OK?』



部屋に入るなりジャケットの釦を 
せわしく外し衣服を脱ぎ始める夕子


洗面から出てきたリオが苦笑いする


『なに慌ててるんだよ』


「だって〜リオは気まぐれだもの その気にならないで帰っちゃうかもしれないもん」


『脱いだからって その気になるわけじゃないよ』


「いやよ リオ…」


キャミソールのまま抱きついてくる夕子の背中をリオは抱きしめる


『夕子 シャワーしてきなよ じゃないとその気にならないな』


「意地悪ね どうせ一緒に入ってくれないんでしょう?」



女のからだを見られたくなかった
だからリオはシャワールームはいつもひとりで入るのだった


『ちゃんと待ってるよ 今夜は夕子がとても欲しいから…』


「ね、リオ ここで脱いでもいい?」


『どうぞ・・』


リオの視線を愉しむようにゆっくりと下着を脱ぎはじめる夕子

その様子をベットに腰掛けたままリオは眺めていた


「ねえ 気が向いたら入ってきて」


シャワールームにつながるドアを開け
全裸の夕子がふり向く


OK〜♪とリオはウインクで答える



シャワーの音を聞きながら
煙草を一本吸い立ち上がり
部屋のカードキーをテーブルに置きなおした


廊下へ出て玄関のロックを静かに外し 
部屋を出たリオは…
閉まるドアに向かって呟いた


『今夜は気分次第…ごめんね 夕子』





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気分次第

Tonight partner by 夕子