『あの…』
彼女が先にリオに訊いた
「あなたもおひとり?」
『ええ ひとりです』
頷くリオに彼女は更に質問した
「この映画を観に?」
『いえ、ただ映画を観たくなって来たんです。
この作品を選んだ理由は待ち時間が一番短かったから(笑)』
「なるほど(微笑)」
館内放送が再度 流れた
いきましょうかという彼女に続いて
入場ゲートに向かった
半券を受け取り上映ホールの扉まで並んで歩いた
歩きながら今度はリオが彼女に質問した
『あなたは、この作品を観に来たの?』
「いいえ」
『えっ…?じゃあ…』
次の質問をする間もなく 彼女が答えた
「選んだのは たぶん あなたと同じ理由(笑)」
『なるほど(笑)』
「さっき 待ち時間に携帯で作品のこと調べてたの
この作品は何度もリメイクされてるから、なんとなくSTORYは知ってたけどね…」
さっきソファで携帯をじっと見詰めていたのは…
なるほどそうだったのかとリオは納得した
『どんなSTORY? 知りたいな』
ホールの扉の前に着き二人は立ち止まった
彼女はリオの目をまっすぐ見詰めた
「STORYはね…。あらゆる女性を虜にする罪なプレイボーイがあるひとりの女性と出逢うことで真実の愛に目覚めるという物語よ…」
魅惑的な瞳に鼓動が高鳴るのがわかる
『そ、そうなんですか…。 面白そうですね』
「詳しくは映画でね(微笑)」
扉横の座席表を見て彼女はリオを振り返った
「あなたのお席はどのへん?」
『一番後ろの真ん中です』
「わたしは、真ん中の真ん中(笑)」
よかったら あとで感想を交換しませんか?」
『あ、いいですね しましょう(微笑)』
「じゃあ 終ったら
さっきのソファで待っています」
今度はリオが真っ直ぐ彼女を見詰めた
『はい、では のちほど…』
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〜beloved〜霧子
■出逢い〜映画館〜(3)