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【〜それぞれの愛〜Blue Moonの瞳〜弾く微笑〜】
…あの人はたしかリツコさん
リツコの後にスーツ姿の男性が続いて入ってきた
ふたりは言葉を交わしながら 奥のBOX席に向かった
薄暗い照明と隣に座るトオルの影になっていたせいであろう
私には気付いていない様子だった
(仕事の関係の人かな?…それとも恋人かな?)
BOX席に座るリツコとその男性にぼんやり視線が泳いでいた
『…ん?』
トオルが私の泳ぐ視線の先を追い・・・振り向いた
『エミさんの知りあい?』
『あっ…ええ…ごめんなさい お話中によそ見しちゃって…』
『挨拶とかしなくていいの?』
『いえ…気付いていないみたい あとで声かけます』
♪〜♪
何処からか聞える携帯の着信音
『あ そうだ…』
トオルは電話をかける用件を思い出したのか
携帯を手に席を立った
『エミさん ちょっと外でかけてくるね』
扉の外に出るトオルを見送りながら
再びBOX席に座るリツコに視線を移した
リツコは、カウンターに背を向けて座っていた
だから私には気付いてはいない…
なんだか落ち着かなかった…
もしこんな場面見られたら誤解されるだろう
ルナの顔が浮かんで はっとした
(そうだ…気付かれる前に先にリツコさんに挨拶しておこう…)
席を立ちBOX席に向かった
リツコの背後に立つと向かいに座る男性と先に目が合った
気配で振り向いたリツコは驚いて大きな瞳を見開いた
『あら〜!!
エミさん』
『こんばんは…』
リツコは私の後ろを窺った
『あれっ…ルナと一緒?』
『いえ…今夜は友人達4人で来ていて そろそろ…帰るところなんです…』
今はトオルとふたり…だがあえて4人で来たと強調して言った
『リツコさん 先日はご馳走様でした』
『どういたしまして〜♪ ルナにもご馳走してくれてありがとうって言われたわ
たかがコーヒー一杯でそんなにお礼言わないでくださいな〜(苦笑)』
リツコの笑顔に…ふと ルナのあの夜の告白を思い出した
(ルナは本当にリツコさんに親友だけの感情しかないのだろうか…)
『エミさん 今度 ルナと3人で食事でも行きましょう〜』
リツコの弾くように微笑む瞳に
私はぎこちない笑みで頷きその場を離れた
席に戻るとトオルが空になったカクテルグラスを持ち
おかわりする?と目で問う
首を振る私の落ち着かない様子を察したのか…
取りだした煙草をケースに戻し トオルは店を出ようと言った
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