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【〜それぞれの愛〜Blue Moonの瞳〜求愛〜】
『好きな人がいても…かまわない』
トオルのセリフにどう答えればいいのだろうと迷った
私は何を迷っているのだろう
自分がわからなかった
きっと…酔っているのだろう LOVESONGと甘いセリフ そしてブルームーンのカクテルに…
ルナの顔が浮かび もう一人のわたしの声が聞えた (エミ…曖昧な態度をしないではっきり答えて…)
沈黙の合間にトオルは煙草を取り出し火を点けた
『あの…トオルさん 私…』
BGMが再び切ないメロディーにチェンジされた
『エミさんの答えはわかってるよ…あの夜からなんとなく気付いてたんだ…』
『えっ…気付いてるって・…』
トオルの切れ長の涼しい目が寂しくカクテルグラスに映る
『エミさんは…マユと同じなんだなってね…』
マユと同じ…その言葉に一瞬 息がとまりそうになった
トオルは気付いていたんだ…
気付いている 答えはわかってる ならば…なぜトオルはLOVESONGを贈り そして求愛し続けるのだろう
きっとトオルは誤解しているのだ それはマユと同じ・・・私をバイセクシャルだと
違うわ…私は女性しか愛せない 今はルナしか愛せない
はっきり答えなきゃ・・ グラスに残ったブルームーンを一気に飲み動揺する胸を抑えた
私が口を開く前にトオルが先に訊いた
『エミさんの好きな人ってあの人(女性)なんだね?』
あのひと(女性)それはルナのことだろう…
トオルの目を見ず…私は頷いた
『そっか…(苦笑)やっぱり否定してくれなかったね…』
『ごめんなさい トオルさん』
『あやまらなくてもいいよ・・・エミさん』
トオルが灰皿でもみ消す煙草が二つに折れた
『LOVE SONG 実はあの2曲だけじゃないんだ…。何曲も書くよ言ったの 憶えてる? エミさんを思うとね次から次に浮かぶんだ 恋すれば誰しもが詩人って本当だね(苦笑)』
『エミさんの恋愛対象は女性ってわかっても それでも好きなんだ…』
『これからもエミさんにLOVESONGを贈り続けたいって思ってる いけないかな?』 『今は0%でもね 僕に泳がないその瞳にLOVESONGがいつか魔法をかけるかもって思ってるんだ…』
熱烈な求愛をするトオルにカクテルの酔いも重なり頬が熱くなるのを感じた
『トオルさんは、カッコいいしモテるしファンもたくさんいるって亜紀子から訊いてます だから…』
『だから…何 ? 私のことは もうあきらめていい人見つけてくださいって言いたいのかな…あきらめられるなら今夜ここに来てないよ』
トオルはドライマティーニのグラスとブルームーンのグラスを引き寄せくっつけた
『シンジに訊かれたんだ エミさんと付き合ってるんだろうってね』 『なぜそう思うのかなって思いつつ…否定しなかった けど それはダメだよね エミさん(苦笑)』
『あ…そうですね それはダメです(苦笑)』
亜紀子たちが勘違いしている理由 私にはわかった
『それとねエミさん マユのことだけどね…』
マユの名を出すトオルの肩越しにBARの扉が開くのが見えた
店内に入ってきたその人物に私は驚いた
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