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  Runa&Emi(ルナ&エミ



INDEX


               【〜それぞれの愛〜Blue Moonの瞳〜作戦〜】


                            

トオルさんとは何もないの…と言いかけて 
さっきのあゆみの言葉を思い出した



《亜紀子に言ったらびっくりしてたよ〜》



そうだ…亜紀子は聞いてるんだ
それはあゆみに見られた首筋のkissマークのこと



その相手はトオルだと亜紀子も勘違いしてるに違いない
今更、言い訳も通用しないだろし 否定したら“じゃあ誰なの?”になるだろう
亜紀子にカムアウトしてしまおうかな…そしたらルナとのことも話せるし


(困ったな…どうしょう)


頭の中 少しパニックになっていた


すると…亜紀子は言葉に詰まる私をフォローするように話題を変えた


『でもさぁ〜 エミったら いいわよねぇ〜♪』
『私もあんな風にLOVE SONGで告白されたいなぁ ねっシンジ〜♪』


『えっ あぁ〜LOVE SONGか…無理だよ 詞も曲も書けないな〜! 俺にはそんな才能ないよ(笑)』


運転しながらシンジが笑った


おかしいな…?
いつもの亜紀子なら問い詰めて大騒ぎするはずなのに

なぜだろう…?
何も聞かないどころか…話を逸らしてくれるなんて

もしかしてシンジがいるから気遣ってくれてるのかもしれない
だとしても…何れ聞かれるだろう 覚悟しておかなきゃ…(苦笑)


ひと先ずホッとした時
ふと…さっきのマユとの途切れた会話を思い出した


『ルナの…』と言いかけた言葉 何を言いたかったんだろう?


『トオルが曲を捧げたい女性ってエミさんだったんですね…』

そう言ったマユの瞳は 私を強く睨んだ


ルナと…そしてトオルとも関わりある私をマユは敵視してるに違いない


私もマユに聞きたかった…


(あなたは…ルナとどういう関係なの?)




―車の振動が停まった
着いた場所は亜紀子たちが予約していた欧風レストラン
トオルのライブのお祝いも兼ねての誘いを私は断りきれなかった


オーダーを告げメニューを閉じるとシンジは言った


『トオルは食事は一緒にできないけど・・・あとでBARに来るってさ〜』


どうやらさっき席に着いてすぐ鳴った電話の相手はトオルだったらしい


『あっ そうなんだ、トオルくん来てくれるんだ〜♪』


亜紀子の弾んだ声にシンジが続けた


『そりゃあ トオルはなにをおいても来るに決まってるさ 
今夜 エミさんに会わないと…ライブで歌った意味ないだろう〜』


そりゃそーだねと亜紀子が送る視線に・・・今は微笑むしかなかった







――食事が終わるといつものBARに移動した



今夜もカウンター席で並んで座った


シンジの運転手しなきゃいけないからと亜紀子は
ソフトドリンクを私は薄めのウーロンハイを頼んだ



トオルがBARに顔を出したのは1時間後だった


『あっ 来た来た〜トオルくん』


扉が開きトオルの姿が見えたとたん亜紀子は席を立ち
『お待ちしてました〜こちらへどうぞ♪』と
大袈裟なジェスチャーで私の隣の席にトオルを誘導した


『トオルくん〜お疲れさま〜♪ライブすごくよかったよ〜私 感激しちゃった』
『あんなロマンチックな曲をギター弾きながら君に捧ぐなんて言われちゃったら
女なら誰でもグッと来ちゃうわよ〜♪』


トオルの横に立ったまま興奮気味に喋る亜紀子にシンジがたしなめる


『おい 亜紀子立ってしゃべるなって〜!ちゃんと席に座れってば』


シンジの声でシュンと素直に席に戻る亜紀子


私の隣に座ったトオルが照れ笑いを浮かべた


『エミさん ライブ来てくれてありがとう…』


『い、いいえ あっ あの曲【Blue Moonの瞳】きれいなメロディーですね ステキでした…』
 

『エミさんに…気にいってもらえたら…一番嬉しい』


ステージから注がれたあの熱い視線が 今 また私を捉えている
なんだか胸が高鳴り上手く言葉が出てこなかった


(わたしったらどうしたんだろう…)


ぎこちない空気が二人の間に流れていた


亜紀子がそんな私とトオルの様子を
チラチラ見てシンジになにやら耳打ちをした


『ねっ エミ〜 今日はシンジは車だし〜、私も飲めないし早めに帰るね』


『えっ だって…トオルさん来たばかりなのに…もう帰っちゃうの?』


不安顔の私の耳元で亜紀子は小声で呟く


『お邪魔虫は消えるわよ〜じゃあね エミ〜♪』


『ちょっと…亜紀子 困るわ ふたりきりにしないでよ…』


『うふっ エミったら 何 言ってんのよ 今更〜♪知ってるわよ〜』


『えっ…知ってるって?』

 
またハっとした・・・
それは相手がトオルだと誤解しているkissマークのことに決まってる
また返事ができず私は下を向いた


シンジもトオルになにか言葉を掛けていた


『じゃあ〜ごゆっくり〜♪』


亜紀子は明るく手を振りながらシンジとBARの出口に向かった


そんな二人を見送りながら
また亜紀子達の作戦なのかもしれないなと思った




『シンジたち帰るの早いよ 来て座ったばかりで何も話してないのにさ〜(苦笑)』


トオルが苦笑した


『あっ…エミさん お祝いの花ありがとうね・・あのあとスタジオに楽器運んだんだ
スタジオに飾っておいたよ』


亜紀子達と一緒にライブのお祝いにとアレンジメントフラワーを贈ったのだった


『いいえ…少し遅れちゃってすみません ピックだって本番中にあんな形
で渡してしまって・・』


『ううん そんなこと気にしないで ちゃんと間に合ったんだからさ…』
『あっそうだ…エミさん カクテル飲む?』


『そ、そうですね でも…今夜はもうこれで・・』


私は手に持つウーロンハイのグラスを示した


『今夜は特にブルームーンのカクテルをエミさんに勧めたいな…』


・・・あの夜と同じ誘う瞳でトオルが私を熱く見つめた


              


                                                      



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