Runa&Emi(ルナ&エミ



INDEX


              【〜それぞれの愛〜Blue Moonの瞳〜視線〜】


                            

…ミディアムスローなメロディーが流れだした



【つれない君】

♪〜
つれない素振りの君  
僕に泳がない かたくななその瞳 

わかってるよ 僕を見ていないこと 
何度も 僕の腕をすり抜ける君
 
いまはいいのさ
夢の中では 僕の腕の中に君はいるから


今夜は最高の月
その瞳に映してあげたいよ

今夜だけ 
僕に肩を預けてくれないか

今夜だけ 
このメロディに耳を傾けてくれないか

〜♪




【Blue Moonの瞳】じゃないこの曲に聞き覚えがあった


…隣の亜紀子が小声で耳うちする


『ねぇ この曲“転送ラブソング”でしょう〜』


(…転送 あっそうだ あの曲だ)


ボーカルが別の声で聴いていたせいであろうか
それがあの曲だとは気付かなかった



あの日 メルアドを教えなかった私あてに
トオルはLOVESONGを書いたとシンジ→亜紀子→私へとメールを転送してきた


そのメールに書かれていたのはこの曲の歌詞だった 


ちゃんと題名書いてるのにいつのまにか
すっかり“転送ラブソング”になっていたのだった



『題名は“つれない君”だよちゃんと覚えててね』


亜紀子とおなじことを言った時トオルが苦笑した
あの夜のBarでの会話を思い出しながらメロディーに耳を傾けた


目の前でギターを爪弾くトオルがなにか感じたのか
わたしを見つめて微笑んだ







メインボーカルのメンバーが次は最後の曲ですと告げると
トオルにマイクを渡した


場内はしんと静まりかえっていた


…ボーカルはとっていない でも時々歌うよ


(トオルは以前そう言ってたけど・・・もしかして歌うのかな)


トオルがマイクを持ち 曲の紹介をはじめた
『今からお送りする【Blue Moonの瞳】は僕が書いた曲の中でもっとも思い入れが深い曲です。
今夜はこの会場にいるこの曲を捧げたい女性のために特別に歌います』



その言葉に思わず私は視線をトオルから逸らした


…捧げたい女性 それは自分のことだとわかっている

だからこそ…
心苦しくて目を合わせることができなかった


どんな素敵な曲を贈られても・・・
私はトオルの気持を受けとめられない




アコースティックなギターの音色が静かに流れ始めた


自分に注がれるいくつかの視線を感じた


それはステージでギターを弾くトオルと隣にいる亜紀子とシンジ


…いや それだけじゃない


さっきから感じる別の視線があった


自分の左右周りにいる人を確認したが知ってる顔は見当たらない


さらに後ろを振り向こうとしたとき…
隣の亜紀子が腕を突付き耳うちをした