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Runa&Emi(ルナ&エミ


 INDEX

            【〜それぞれの愛〜Blue Moonの瞳〜心揺れて〜】




                            
隣の亜紀子が小声で耳打ちする


『ちょっと エミ なにキョロキョロしてるの…?』
『ちゃんと聴かなきゃ〜トオル君に失礼よ…』


その言葉に慌ててステージのトオルに視線を戻した



【Blue Moonの瞳】


♪〜

見上げた月に君を想う

青い月の夜 
出逢った瞳
僕は恋をした

こんな夜は
どうしようもなく
君を想う

君の瞳は
ブルームーン

僕を酔わす
ブルームーン

〜♪




目の前でアコースティックな音色を爪弾き歌うトオル


この曲【Blue Moonの瞳】は
ブルームーンのカクテルに酔ったあの夜のことを歌っていた…。


私はトオルと初めて出逢った夜を思い出していた

…『エミさんは色っぽいね』
…『エミさんが店に入ってきたとき、僕は一瞬にして心奪われたよ』

トオルのそんな台詞がカクテルの酔いを加速させたのだった


あの夜流れていた古いラブソングがトオルの歌う
【Blue Moonの瞳】に重なりなぜだか…胸が熱くなった


この切ないメロディーのせいだろうか?


自分のためにLove songを歌い想いを伝えようと
ステージから熱く見つめるトオル
そんなトオルに心が揺れる自分がいる気がした


さっきは駅で再会したミサオの瞳に心が揺れた自分がいた


(私ったら…何思ってるの ダメよ…)


今日の私はどうかしてるわ…


私の心はルナしかいないの ルナでなきゃだめなの…


トオルの送る熱い視線に思わず目を閉じた


曲が終っても拍手せずの私の様子に亜紀子が顔を覗きこむ


『エミ〜?ねっどうしたの?』


『あっ ううん なんでもない…』


慌てて拍手をする私にステージの上からトオルは頷いて笑った





トオルたちのバンドの演奏が終わると私たち3人は会場を出た


『車 出してくるよ〜』


シンジが駐車場に向かって歩き出した その後を亜紀子が慌てて追う


『あっ シンジ〜待って!私も一緒にいくわ〜』


『お前はエミさんと一緒に待ってりゃいいじゃん〜』


『なによ〜一緒に行ってもいいじゃない〜』


『エミ〜 待っててね』


振り向きながらシンジの腕に手を廻す亜紀子


《・・・相変わらず仲良いな〜亜紀子たち(笑)》


亜紀子とシンジを見送っている時 背後から名前を呼ばれた


『エミー♪』


振り向くと同僚のあゆみが婚約者の彼で○○物産の若社長と立っていた


『あゆみ〜来てたの〜♪』


『うん 亜紀子に誘われてね〜♪』


隣に立つ彼が“いつもお世話になっています”と営業スマイルでお辞儀をした


『あっ…彼もね 学生の頃バンドしてたんだって〜見えないでしょう(笑)』
『だから彼もライブ是非見に行きたいって言うから一緒に来ちゃったの』


あゆみの言葉に隣の若社長の彼は照れ笑いを浮かべた


『ライブよかったわよ〜 ねぇ エミの彼ってカッコいいわね〜♪』


『えっ彼?って』


『もぅ〜エミったら…あの情熱的なシルシをつけたのは彼なんでしょう?(笑)』


あゆみが私の腕を小突きながら冷やかし笑いをした


(あっ・・・そうだった…)
思わず首筋に手が行きそうになった
いつだったかあゆみにルナのつけたKissマークを見られたことがあった


言葉に詰まる私にあゆみは更に驚くことを言った


『亜紀子にね そのこと言ったらびっくりしてたよ〜(笑)』


えっ…亜紀子に言ったって…それはヤバイ〜どうしょう(汗)
またきっと追求されることだろう…
やっぱあの時 あゆみに口止めしとけばよかった
そんなことを思いながら あゆみたちと立ち話をしていた時
また誰かの視線を感じた…


『エミさん…』


誰かが私を呼んだ…