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【〜逢いたい〜】
1時間前リツコを見送ったエントランスで ルナはエミを待っていた
秋の気配を夜風に感じる 見上げた夜空に青白くぼんやり浮ぶ Pale moonを見上げルナは思った
愛なんてもう信じない 恋が終るたびにルナはいつも思った
この人こそ最愛のひと そう信じてても 些細なすれ違い 薄れいく愛情 渇いていく心
そして涙で終止符が打たれる
あの人のときもそうだった
どうして傷つけあうの どうして終わりがくるの
永遠の愛なんてないじゃない
儚く消え去っていくひと(女)の影に泣いた
もう恋はしたくない 心…全部奪われる恋はもうしない
そう思った
あの日 エミに出逢った
どうして性懲りもなく…胸が疼くのだろう
強く惹かれる自分がいた
また恋に落ちる予感がした
溢れる想いと愛しいと思う感情は止められなかった
…エミィ 今度こそ本物だって信じてる
「エミ こんな夜中にどこ行くの?」
母の声に適当な言い訳をして 午前零時の通りに出た
(駅に行けばタクシーを拾えるはずよね…)
小走りに駅へと急ぐ ルナの『会いたい』の声がリピートしていた
駅前に1台空車のタクシーが停まっていた 急いで乗り込む
(…ねぇ ルナ 私のほうがもっと会いたいの…) タクシーの窓に映る Pale moonに呟く
ヘッドライトがエントランスに立つルナを捉える タクシーがルナの前にゆっくり停車する
「ルナ…来ちゃった」
はにかむ私にルナは悪戯っぽい笑みを浮べ
「いらっしゃいませ…お待ちしてました(笑)」
ホテルのベルボーイのようなお辞儀を真似る
「ルナ…ったら(微笑)」
手を繋ぎエレベーターに向かう
エレベーターのドアが閉まり ルナの腕が私を抱き寄せる
「エミィ 会いたかったよ…」
夢中で探りあう唇 二人の息遣いしか聞えない静かな空間
ルナの部屋の玄関の中
鍵を閉めルームライトに伸ばすルナの手を 私は阻む
「全部つけないで ルナ…」
「どうして?」
「素顔なの…恥かしいから…」
「何度もエミィの素顔見てるよ…(苦笑)」
「今夜はね…なんだか 恥かしいの」
「素顔の方が 可愛いよ エミィ…」
ルナの両手が頬を挟む 僅かな灯りの中 互いの唇を探りあう
熱い吐息と絡める舌先 混ざり合う唾液
「…アァ…息がとまりそう…」
ルナがくれる濃厚で深い接吻は私の身体をあちこち溶かしていく
「あぁ…ねぇ…ルナ…お願い…立ってられない…私…」
首筋にルナの唇の熱さを感じた
「アァァ…もうダメ…」
ルナに首に廻した手が力なく解け滑っていく
ふたりはもつれるように抱き合い玄関フロアに転がった
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