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【〜pale moon〜】
ルナは自責の念に駆られた
「リッコ 私が悪いのよ・・・あの時・・・」
「・・・ううん ルナ」 言葉を遮るリツコ
「悪いのは私 誘ったのは私 あの時はたまらなくルナが欲しかったの 「だから 嬉しかった 幸せだった やっとルナは私のものになったって思った・・・」
ルナの指の間から煙草の灰がこぼれ落ちた
・・・わかってる・・・あの時 本当は私 あの人の代わりの温もりをリツコに求めたんだ
重ねたリツコの肌の上で 「リッコには普通に結婚して幸せになってほしいな〜」 ・・・だなんて よく言えたものだ なんて私は冷酷で身勝手だったんだろう
だけどリツコを愛してなかったわけじゃない
ただ・・・求めている愛の種類がちがったんだ
愛する人を・・・ もう傷つけたくない
愛する人を もう失いたくない
リツコを真っ直ぐ見つめルナは告げた
「私はリッコを抱けない ううん・・・抱かない 私にとって リッコは一生必要な存在なの 失いたくないの・・・。 だから・・・だからこそね これからもずっと親友でいてほしい その意味をわかってほしいの・・・」
肩を震わせるリツコの瞳から大粒の涙が零れ落ちた
「ルナ・・・ごめんね・・・」
涙で濡れるリツコの顔に いつか離れていった恋人の泣き顔が重なった
・・・静かな沈黙が続いた
「・・・そろそろ私 帰るね ルナ」
立ち上がるリツコに ルナは時計に目をやる 午後11時をすこし回っていた
「もうこんな時間よリッコ 泊まっていく?」
リツコが苦笑いする
「ルナったら〜 また 誘惑しちゃうかもしれないじゃない(苦笑) 大丈夫よ・・・タクシーを呼んで帰るわ・・・」
十分後・・ リツコとエントランスに向かう タイミングよくタクシーが到着したところだった
「ルナ きょうはありがとう〜御馳走様でした(微笑)」
開いたタクシーのドアに向かうリツコは いつもの笑顔に戻り手を振った
車に乗り込むリツコ背中に・・・ふとルナは思い出した
「あっ そうだリッコ〜 探し物はあった?」
ルナの声に閉まりかけた車のドアがもう一度開いた リツコは首を傾げ 一瞬考えて・・・ふっと笑った
「うん あった あった♪ でも いいの もう持って帰らない(笑)」
リツコが意味ありげに笑う
「あ、そうだ エミさんに電話してあげてね 私のせいで途中で切っちゃったんでしょう・・・ねっ・・・(苦笑) じゃあ おやすみ・・・ルナ」
リツコを乗せたタクシーが路地を曲がった時 ふと見上げた空 青くぼんやりした輪郭の丸い月
・・・今夜は満月だったんだ
青く見える月 Blue
moon ううん 今夜はPale moonだね
青い月はBlue moonだけど Pale moonともいうのよと いつかの夜 エミが言ってたな(微笑)
・・・エミィ
部屋に戻りルナは携帯を開き発信ボタンを押した 何回かのコールのあと聞き慣れた声がした
「ルナ こんな遅くにどうしたの?」
「エミィ・・・」 「会いたいよ・・・エミィ」
窓に映るPale moonをエミも見ていた
「ルナ・・・わたしもすごく会いたい」 「ねぇ ルナ 今からいってもいい・・・」
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