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                【〜それぞれの愛〜リツコとルナ〜4〜】

                            


かつて二人が過したこの部屋で・・・
エミの名を呼ぶルナの声に言い知れぬ虚しさが胸に込み上げた


ピンクの小瓶を戻し扉を閉めるリツコ


(私ったら・・・どうしてまた戻すの?)


少しの悪戯心が動く


(私って・・・何してるんだろ・・・嫌な女・・・)


ルナの特別な視線はもう自分には注がれることはない


あの夜限り・・・もう終ったこと
(わかってる わかってるはずなのに・・・)


心の奥に閉まったルナへの感情
再び沸々と湧き上ったのは・・・いつからだろう


そう・・・それはエミの存在を知ったあの日からだった



『あはは〜そうだね〜』


ルナの笑い声が響く


『もうミチコさんにカムアウトしなよ〜エミ♪
そうだ〜こんど3人で飲みに行こうか〜』


エミと楽しげに話すルナの声を聞きながら
リツコは再び扉を開け コロンを手にとる


蓋をあけ・・・指先を濡らし耳のうらをなぞる
懐かしい甘い香りが広がる


(ねぇ ルナ 今夜だけでも私を見て・・・)




窓の外を眺めながら話すルナ


リツコはルナの背中にゆっくり近づき
そっと・・・寄り添い後ろから腕を廻した


・・・えっ・・・

突然のリツコの抱擁に
電話を持つルナが驚き・・・慌てた


『ううん〜なんでもないよ〜(汗) あ、あのさエミィー
充電切れそうなんだ・・・だからまた掛けるね・・・切るね・・・』


ピッ!



『・・・リッコ・・・』


リツコは目を閉じルナの声を背中で聞いていた


『・・・』


背中に感じるリツコの柔らかな温もり
漂う懐かしい甘い香りがふたりを包んでいた


暫く無言の二人・・・



『ねぇ リッコ いったいなんの真似なの・・・』


ルナは溜息まじりにリツコの腕を解こうとした


『自分でもわからないの・・・』


『今日のリッコはなんかおかしいよ なんかあった?』


腕を解こうとするルナの手をリツコは拒む 


『ねっ・・・ルナ しばらくこのままでいさせて お願い・・・ 』


『リッコ・・・ダメだよ こんなこと』


ルナは、巻きつくリツコの両手を強く握りしめた