RUNA&EMI(ルナ&エミ)
〜出逢い〜5
 



INDEX

その瞳に見つめられて胸の鼓動はさらに高鳴っていた・・・。


「これ、あなたとニアミスしちゃった本ですよ」
文庫本を手にとるとその人は悪戯っぽい笑みを浮かべた


「あの作家 お好きですか?」

『ええ…はい…』

・・・あっ


そのとき私の膝に置いていたバックが滑り落ちた
慌てて拾い席に座りなおそうとした時 手がカップにぶつかった
倒れたカップから流れたカプチーノがテーブルに広がり文庫本をぬらした

「あ〜 すみません〜(汗)どうしょう」

慌ててバックから取り出したハンカチで流れる液体をふき取る
(カップに残ってたカプチーノがすこしだったのが幸いだ)

文庫本を手にとるとその人は「いいのよ ありがとう」
そういいながら薄っぺらい紙のブックカバーをはずした


「ほら、本はこのとおり無事だし(笑)」


「ほんと 私ったら あわてんぼうでドジで〜(赤面)」


「ううん、気にしないで〜、それよりハンカチ汚しちゃったね」


《・・・私ってホントにドジ〜》



時計に目をやり席を立とうとする
 その人の動きに私は焦った


「そろそろいかなきゃ・・・」


《あっ、行かないで・・・なにか言わなきゃ・・・訊かなきゃ・・・》

勇気を振り絞り訊いた

「すみません・・・お名前教えていただけませんか?」


胸の鼓動は壊れそうに高鳴っていた・・・いきなり名前訊くなんて・・・
きっとへんな女だと思われてるだろう 怖くてそのj人の表情をみることができない


「ルナって言います^^」


顔をあげると 最初に出逢ったあの黒い瞳が私を映していた


「あなたは?」


「エ、エミです 自分がさき名乗らなきゃいけないのにすみません」


黒く潤んだ瞳は私を見つめた


「エミさんね・・・名前・・・私も訊こうって思ってたの・・・」


(え・・・私もだなんて・・・まるで夢みたい)


ガラス越しの雨の街をバックにふたりの視線は絡み合った・・・




それがルナと私の出逢いだった・・