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【Blue Moonの瞳 〜5〜】
〜僕に泳がない その瞳〜
何度も 腕をすり抜ける君〜♪
トオルが、口ずさむ・・・
『エミさん・・・憶えてくれてる?この歌・・・』
『転送 ラブソングですね(笑)』
『えっ 転送・・・??違うよ・・・題名は【つれない君】だったはずだけど(笑)』
『あはっ そうですね〜 亜紀子が転送のラブソングってメールに書いてたから、
私ったら・・・題名と勘違いしてました・・・(苦笑)』
『あははっ・・・ちゃんと憶えててほしいなぁ〜エミさんの為につくった曲なんだから・・・』
『トオルさん、ボーカルもするの?』
『うん メインボーカルはいるけどね 時々歌うよ 自分の歌いたい曲だけね(笑)』
2杯目のカクテルは、口当たりが良過ぎる
(なんだか・・・私、お喋りになってるみたい)
『こんど、ライブで歌うからね・・・エミさん・・・聴いてほしい』
酔いのせいだろうか・・・
トオルの熱く絡ませる視線もさけずに、見つめかえす
(わたしったら・・・どうしたんだろう・・・)
―その頃 ルナは、長引いた会議が終わり
事務所に戻り帰り支度をしていた
マナーモードにしたままの携帯を開いた
エミから、メールは届いていなかった
(エミィは、家にいるのかな?)
時計に目をやる 午後10時30分を指していた
『青井くん、明日の原稿お願いね・・・』
(はぁ明日も出勤か・・やれやれ・・・・)小さく溜息を吐きながらルナはドアに向かった
『はい、わかりました あっ〜ルナさん 最寄駅まで送っていきますよ』
部下の青井が、書類を束ねながらルナに声をかけた
『あら、いいの〜助かるわ なんだか歩くの足が重かったんだぁ(苦笑)』
連日の忙しさで、ルナは疲れていた
走る車の中、開いた携帯
ルナは、エミに打ち込もうとしたメールの手をとめた
(帰ってからでいいかな・・・)
―熱く感じる頬に両手をあてた
2杯目のカクテルは、酔いを加速させる
(いけない・・・これ以上、STOPしなきゃ・・・)
『トオルさん そろそろ遅いから・・・帰らなきゃ・・・』
『そうだね・・・、行こうか・・』
煙草をポケットにしまい トオルが少し寂しそうに笑った
BARを出て、タクシーを拾える大通りをトオルと歩く
やっと、みつけた空車にトオルが手を上げたとき
酔いのせいか 足が少しもつれよろめいた
『あっ、大丈夫・・・エミさん』
トオルが、肩を抱きとめる
そんな、ふたりの様子を、後方から見ていた人物がいた
「あ〜、空車
さきにとめられちゃった」
数人の男女の中のひとりがつぶやいた
(あれ・・・トオルじゃない・・・あの人(女性)はたしか・・・)
それはマユだった・・・。
タクシーの中で、私はすっかり酔っていることに気がついた
知らないうちにトオルの肩にもたれかかっていた
ハッとして、身体を離す
『エミさん・・・、大丈夫だよ送り狼なんかにならないから
・・・シンジにぶっ飛ばされるよ(苦笑)』
『・・・(苦笑)』
ぎこちない空気の中
窓の外の夜の街をただみつめた
ルナを思う・・・
(ルナ どうして今夜は連絡くれないの・・・)
酔いと車の振動のせいか・・・眠りに誘われ
再びトオルに寄りかかり、いつのまにか瞼を閉じていた
そんなエミにトオルは
LOVE SONGをおくる
〜【Blue Moonの瞳】〜
見上げた月に君を想う
青い月の夜
出逢った瞳
僕は恋をした
こんな夜は
どうしようもなく
君を想う
君の瞳は
ブルームーン
僕を酔わす
ブルームーン
やわらかな髪が触れ
あまい香りが漂う・・・
エミの息を肩に感じる
頬に伸ばしかけた手を戻し
トオルは、エミに触れたい衝動を抑えた・・・
《エミさん・・・、本当はね・・・》
トオルは、心の中で呟き・・・
走る車の窓に映る月を見上げた
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