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【愛しい】
リツコと別れて、帰る電車の中・・・ルナにメールをした
―ルナへ― さっきね、偶然 リツコさんに会ったの・・・ 一度会っただけなのに、名前も顔もしっかり 憶えてくれてたみたい・・・ 声掛けられて、びっくりしちゃった
コーヒーご馳走になっちゃった^^ ―エミ―
その頃・・・ルナは、事務所で原稿をチェックしていた エミのメールで、ペンを持つ手を休めた
―エミへ― リッコは、人一倍記憶能力に優れてるからね コーヒーだけ?もっとご馳走してもらえれば よかったのにさ・・・(笑) ―ルナ―
【送信完了】の文字を見ながらふと思った
エミとリツコは、どんな会話をしたのだろうか・・・
ルナの、胸中は穏やかではなかった
後ろめたいこと 知られたくない過去などはない だが、リツコの口から語られた話で エミが、変な誤解などして傷ついていないか心配だった
今まで、出逢い恋したひと(女性)は、何人かいた・・・ でも、こんなに深く強く惹かれたのはエミがはじめてだった
あの雨の日、文庫本に手を伸ばすエミの横顔に視線が止った 不思議に感じるものがあった・・・。
まるで強力な磁力に引かれるように 手が触れる偶然は、分かりつつその本に手を伸ばした・・・
エミと目が合った瞬間に、恋に落ちると・・・確信した
必然の出逢いだと想った・・ 会釈し、立ち去るエミの背中を・・・見送りながら思った ここで、別れてもきっと・・・必然がまた偶然を導くはず
ルナは、エミを愛しく想った
数日前の朝の、ベットの中での会話がよぎった
「ねぇ ルナ 私の方が勝ってるね」
「ん、何が?」
「愛する気持の大きさ」
「う〜ん、そうだね・・・。 昨夜はエミィの勝ちだね(笑)」
「昨夜はって何よ〜? ルナ」
「私は、疲れて眠いのに・・・何度もおねだりして〜(苦笑)」
「もう〜ルナったら(赤面)」
エミィ・・惚れた方が負けなんだよ(微笑)
エミィ・・“愛しい”よ・・・
ルナは、エミの身体のラインを・・・なぞった指先を見つめた
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