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Runa&Emi(ルナ&エミ


 INDEX

                         【“回想”】

                            


あゆみの言葉にルナを思った・・・


狂おしいくらい 私は、ルナを愛してる
身を委ねながら、溶けあい何度も重ねた肌


あゆみの、結婚話を聞いていて
頭の中でふと不安がよぎった


・・・このまま、ずっと ルナと一緒にいられるのかな
・・・ルナも私もビアン
・・・この先、男性を恋愛対象にすることなどはない
・・・もちろん結婚なんてことも・・・考えられない・・・でも・・・



「ねっ、エミの彼ってどんな人? 見てみたいな〜♪」


あゆみが、首をかしげて微笑む


「えっ 彼? ふ、ふつうのひとよ」
心の中でまた呟く(彼じゃなくて彼女よ・・)


あゆみにみられた首筋のこの痕(しるし)
今更、恋人がいないと否定はできないだろう


一瞬 亜紀子の顔が浮んだ・・・

(あっ、ちょっとやばいかも(苦笑)亜紀子には知られたくないな)
かといって・・・あゆみに内緒にしてと口止めするのもおかしいし
・・・まっいいか〜、知られたらなんとか切り抜けよう・・・(苦笑) 


「愛し合ってるんでしょう?羨ましいな〜」


そう言いながら 溶けた氷で薄くなった、アイスティーを飲み干すあゆみ


「ねぇ・・・あゆみ 幸せになってよね・・・」


愛していないけど結婚すると言うあゆみに、私はそう声を掛けるしかなかった 






――ルナは、溜まった仕事を順に忙しく処理していた


「わかりました。では、木曜の午後一時にお伺い致します・・。」


受話器を置くルナのデスクの横に立ち、部下の青井が用紙を広げた


「ルナさん レイアウトはこんな感じでいいですか?」


ルナは、予定表にペンを走らせながら・・・広げた用紙に目をやる


「そうね〜いい感じだけど・・・ん?このスペースはどうしてあけてるの?」


青井が、指摘されることを分かっていたのか・・・いなやに答えた


「あの・・・そこ、社寺の写真を入れようと思ったんですが、手持ちの中で、適当な
写真がなくって・・・かといって撮影に行くのも使う予算や時間も限られてるんで
・・・もうナシにしたほうがいいかと・・・迷ってるんです」


「う〜ん そうね・・・」


ルナが、ペンを顎につけ空いたスペースを見、少し考えた・・・


「あ、そうだ〜♪ 青井くん いいわ 写真は私が手配するから 
あとは、これですすめてね」


なにか思い出したように、ルナは携帯を開き発信ボタンを押した・・・


♪〜♪


途切れたコールの向こうで弾んだ声が聞えた



「もしもし リッコ? ちょっと頼みたいことあるんだけど・・・会えるかな?」





夜、リツコとルナは、例のBARにいた・・・


カウンター席でリツコは・・・数十枚の写真を並べた


『ここにも入ってるから・・・お好きなものを使ってくださいな〜』


SDカードを、ルナに差し出す


『ありがとう〜、助かったわ さすがリッコね〜』


煙草の灰を落しそうになり・・・ルナは慌てて灰皿を寄せた


『この前の写真展で、ルナに色々手伝ってもらったもの・・・こんなのお安い御用よ(笑)』


『リッコが、社寺・仏閣の写真撮ってるって言ってたこと ふっと思い出したの・・。
あっもし、使うんだったら・・・ボツになるものでいいよ〜』


写真を選ぶルナのしなやかな指先と、穏やかな横顔に
ふッと・・・昔のふたりをリツコは回想していた


《あの頃は、いつもルナと一緒だった・・・》


同じキャンパスで学んだ私達
趣味も合い何事も意気投合して
将来進む夢を一緒に追っていた・・・あの頃

いつも隣にいてくれたルナ
落ち込んだ時、一番に励ましてくれたのはルナだった。
ルナは、憧れだった・・・。ルナは私にとって・・・。

ジンライムのカクテルに静かに口をつけるリツコが、
そんな回想をしてることなど知るよしもなく
ルナは仕事の話をしながら、手帳をめくりペンを走らせていた


「忙しそうね ルナ?」


「うん〜、重なるんだよね・・・暇なときはこわいくらい暇なのに(笑)」


煙草を取り出すルナの指先にリツコが問う


「ねぇ ルナ、この前ギャラリーに一緒に連れてきた女性(ひと)は?」


「あぁ エミのことね・・・」


「ルナの彼女なのね?」


「うん、そう・・・(微笑)」


照れ気味に答え煙草の煙を吐き出すルナ


「いいわね〜、私に見せつけに来たのね〜お熱いこと(笑)」


リツコは、わざと明るく笑ってひやかした


「あ〜そうだ、こんど休みにルナの部屋に残った荷物とりにいくね
もう、2年も預けっぱなしね・・ごめんねルナ・・・」


「うん 了解・・・」


そう、リツコに答えたとき・・・
昨夜、エミィが背中に深く爪をたてたあとが疼いた・・・