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【“誘いのメロディー”】
・・・トオルとルナの顔が交互に、私の頭の中でグルグルまわっていた
トオルの恋人?だった女性 もしかしたらルナの恋人?でもあった?
もしそうだとしたら・・・
あの時の二人の間の気まずい空気は理解できる
もしそうだとしたら・・・
なんて皮肉なめぐりあわせなんだろう
トオルが私を誘い・・・私はルナを好きになり・・・
そうして、また二人が関わるなんて
でも・・・・ルナは、どうしてなにも言わないんだろう?
いや・・・・本当にそんな仲だったかどうか わからないじゃない
『ちょっと エミ〜?どうしたの大丈夫〜?』
コーヒーカップを持ったまま動かぬ私を
亜紀子が心配そうな顔で覗き込んでいる
『あ、ごめん・・・。ちょっと今、考え事しちゃってて・・・』
気を取り直して 亜紀子に訊いてみる
『ねっ トオルさんはそのひと(女性)と恋人同士だったの?
どうして別れたの ?』
『あら、ホントは気になるんじゃないの〜エミ〜♪』
亜紀子がシフォンケーキを口に運びながら笑う
『詳しいことしらないけど〜、付き合ってたんじゃないの〜
別れたのは、そのことが原因じゃない?またシンジに訊いとくよ〜』
♪〜
私の携帯の着信音が鳴った。
・・・トオルからのメールだった
(なんていうタイミングなんだろう)
―エミさん―
あの歌詞に、メロディー付けたんだ
まだ完成じゃないけど・・・エミさんに
一番に聴いてもらいたいんだ〜♪
会えないかな?
P:S
大丈夫だよ 誘惑なんかしないから(笑)
―トオル―
『誰?ねっ、もしかしてトオルくん♪』
亜紀子が携帯に目をやる
『ち、ちがうわよ〜、友達よ〜』
また言えば 大騒ぎするだろう・・・。
亜紀子にはメールのことは内緒にした
トオルに会ってみようと思った
訊いてみたい・・・。
《今更、訊いても仕方ないだろう・・・知らない方がいいかもしれない》
心の中もうひとりの私が呟く・・・。
・・・昨日 ルナが触れた手を見つめた
『エミって呼んでもいい?』
ルナの声を思い出してた・・・。恋しい・・・。
《ルナのことなら、何でも知りたい・・・ううん知っておきたい》
亜紀子の話に頷きながら トオルにメールの返事を打っていた
―トオルさん―
もうメロディーできたんですか?早いですね♪
聴いてみたいです
絶対、誘惑されませんから、ご心配なく(笑)
―エミ―
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