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【“絡まる手”】
・・・信号が青になり 絡んだ手をどちらからともなく離した…。
《気になっていたの・・》ルナの言葉に・・・
胸の鼓動は収まらず・・・全身がずっと火照ってる感じだった・・・。
ふたりはなぜか・・・暫く無言で歩いた…。
地下鉄の駅が見えてきたとき ルナが口を開いた
『エミさん、ちょっと地下街の本屋に寄りたいの…』
――その本屋は ルナと始めて出逢った場所だった…。
ルナは難しいタイトルの本を手にとり何かを探していた
私は、あの作家の文庫が並ぶ棚の前で立ち止まっていた
(あの日ここでルナと出逢ったんだ・・・)
ルナの指先の感触がまだ残る右手を見つめた・・・。
『エミさん ありがと 行きましょう〜』
ルナが携帯を閉じながら近寄ってきた
『夕飯一緒にと思ってたんだけど呼び出しかかっちゃったの
うちの上司ったら休みでもお構いなしなの 参っちゃう(苦笑)』
『いえ、気にしないでください〜』
…そういえば、ルナがどんな仕事してるかきいてない
カフェで、私はOLだというのは話したけど・・・
あの時、何故か別の話題に飛びルナに訊かずじまいになってた
『ルナさんって、どんなお仕事されてるんですか?』
『ライターです…。 』
『コピーライターとか?』
『ううん、フリーライターです。
仕事柄、不得意分野の本も読まなきゃだし 調べ物多くって・・・(苦笑)』
・・・人が行き交う 改札口の前
『じゃあ、私はここで・・・。 エミさん 今日はありがとう(微笑)』
見つめるルナの瞳に切なさが込み上げる
『ルナさん 会えて嬉しかった・・・』
寂しい気持がいっぱいでなんだか上手く笑えない
『うふふ エミさんどうしたの?もう会えないみたいな顔しちゃって・・・(苦笑)』
ルナが潤んだ瞳で手をもう一度絡ませてきた
『ね、これから エミって呼んでいい?』
私は・・・ルナの手を強く握り返した
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