RUNA&EMI(ルナ&エミ)〜Part T〜
第1章
〜出逢い〜2
地下街のショッピングモールでランチをして目的の買い物も終わり
亜紀子と私は地上の通りに面したカフェに入った。
丁度 PM3:00のティータイム
カフェも混んでてテーブル席は満席だった
「あ、ほら…エミ あそこのカウンター席空いてるみたい〜♪」
せっかちな亜紀子は店員の案内も聞かずさっさと向かう
「ここの席 いいね〜 外の様子もよく見えるし ねっ エミ〜♪」
ガラス張りの歩道に面したカウンター席
交差点の角にある店なので 車や人の行き交う様子がよく見える
「でもさ〜 外からもよく見えるね。 なんか落ち着かなくない?」
あれ、亜紀子・・・?
振り返ると 相変わらずせっかちな亜紀子は
すでにセルフサービスの注文カウンターに向かっていた
「ねぇ〜エミ 何する?ホットコーヒーでいい〜?」
カウンターから大声で訊く亜紀子
回りの視線がいくつか感じる
亜紀子の方に大きく頷いて 席に座った(赤面)
《まったくぅ・・・亜紀子の行動はせっかちなおばさんね(苦笑)》
コーヒーカップを二つ並べて座ると 亜紀子は早速おしゃべりを始めた・・・
「ね、エミ知ってる?課長が部下にセクハラしたって問題になってるらしい
私も、飲みにいかないかって誘われたことあるんだよね・・・あのエロ課長〜」
「そうそう あゆみが会社辞めるらしいよ・・・結婚するんだって
相手は○○物産の若社長だって知ってた?どうみても
あゆみのタイプではないしさ・・・きっとあれはセレブ狙いよね〜」
「ふ〜ん そうなんだ」
亜紀子の口から次から次にでてくる話題に 適当に相槌をうつ
(今日のコーヒーはなぜか苦く感じるなぁ…)
交差点の行き交う人や車の流れをガラス越しに見ながら・・・
私はずっと…さっき本屋で出逢ったあの女性を思い浮かべてた
亜紀子の電話であのまま店出ちゃったけど
あの人…あの本 買ったのかな?あの作家のファンなのかな…
(…私ったら、どうしたんだろ・・なんで気になるのかな…)
外は雨がポツリポツリ 降り出した
信号待ちや歩く人波に傘が一つ二つと開いていく
向かい側の信号が青になり人波が動きだす
ぼんやりとそんな様子を眺めてると
傘の間をよけながら足早に歩道を渡る ひとりの女性にふと目が留まった…。
《あっあの人は…さっきの…》(胸が高鳴る)
視線はその人(女性)を追いかける…
隣の亜紀子が私の腕をつつく・・・
「ね、ちょっと エミ〜? 話聞いてる? 何?誰見てるの?」
亜紀子の声に ハッとしたとたん…
その人はもう追いつけない視界に消えていた
落ち着かない様子で外を見る私を亜紀子は怪訝そうに覗き込んだ
私は慌てて話題を変えた
「そ、そうだ ね、亜紀子 今日聞いて欲しい話って?
セクハラやあゆみの結婚話だけなの?それとも??」
「あ〜そうだった ごめん〜ごめん〜 本題に入らなきゃね
エミ〜聞いてくれるぅ 実は彼のことなんだけどさ〜 昨日ね…」
そう亜紀子が言いかけたとたん
テーブルに置かれた携帯の着信音が派手に鳴った・・・