INDEX
【“GALLERY”】
お気に入りの本や作家の話をし、
コーヒーを飲み終えた頃 ルナが腕時計に目をやった
『ねえエミさん ちょっと近くまで付き合ってくれる?』
『ええ、どこでも お付き合いします〜』
『友人が写真展を開いてるの ちょっとのぞいてみたいから・・・』
カフェを出てルナと並んで歩く午後の街
私よりすこし背の高いルナ・・
思わず腕を組みたくなる衝動を抑えた
『ここの中にギャラリーがあるの』
ギャラリーのあるビルには見覚えがあった
あの雨の日・・・
地下街を抜けひとつの傘で歩きルナを見送ったビルだった・・・。
『あ、そういえば エミさんに、送ってもらったね
あの時は、ここに展示の準備の手伝いにきたの・・・』
そのギャラリーは1階奥にあった・・・
『ルナ〜♪』
ギャラリーの入り口から弾んだ声がした
『ようこそ いらっしゃいませ』
ルナと私の方に歩み寄ってくる女性がいた
『リッコ〜 いたんだ』
『なによ〜、いちゃ いけないの〜(苦笑)』
笑いながら その女性はルナの肩を軽く叩いた
私に注がれる女性の視線に気づき ルナが紹介をする
『こちら 友人の律子 一応女流カメラマンかな(笑)』
『はじめまして、エミです・・・』
リツコは、大きな瞳が印象的な美人だった
『エミさんね よろしく・・・。ゆっくり見ていってくださいね♪』
大きな瞳でリツコが私を、弾くように見つめる
『あ、そうそう ルナ・・・ちょっと・・・』
リツコがルナの腕を引いて なにか話しはじめた・・・。
ルナがリツコと話してる間 白い壁に並べて飾られた
モノクロ写真をみて歩いた・・・
街の風景をいろんな角度から捉え、撮られていた
『学生時代からの友人なの 私も女流カメラマン目指してたの
でも 私、才能なかったみたい〜(苦笑) 』
ルナがいつのまにか隣にきていた・・・
『エミさんは写真とか興味ない?』
『いえ、こんな風景とか見るの好きです。素敵ですね
この写真の街に行きたいなって思っちゃう〜』
リツコが近寄ってきて
写真の街の場所や、撮影のエピソードを語る
ルナのリツコをみる穏やかな目に
あの夜の“知りたい”が甦ってきた・・・
← →
|
|
|
|
|