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 Runa&Emi(ルナ&エミ


 INDEX

                       【誘惑〜6〜重なる手

                            



カフェオレにトオルはシュガーを、たっぷり入れた


『トオルさんって 甘党なんですか?なんか意外〜(笑)』


トオルは前髪を軽くかきあげながら、笑った


『そ〜、みんなに言われますよ』


トオルがタバコに火を点けたのを見て尋ねた


『あの〜トオルさん?』 『あのさ、エミさん?』


ふたり同時に話しかけてた・・・


『あはっ トオルさん先にどうぞ〜』


『いや、エミさんから、どうぞ〜(苦笑)』


『さっきのBARで私と話してた女性のこと知ってるんですか?』


『あぁ 知ってるよ』


トオルのタバコの煙を私はみつめた


『僕達のバンドで、前に、キーボード担当の女の子がいたんだけど
彼女はたしかその子の友達だよ 何回かライブ来てたかな・・・? 』


本当にそれだけなのだろうか?
その程度の知り合いならば、気軽に声をかけるんじゃないだろうか?


《・・・今度ルナに会った時に訊いてみよう》


『エミさんと彼女はどんな知り合い?』トオルが訊く


ルナとの出逢いの経緯をトオルに詳しく話すのは躊躇った


『あ、あの友人の友人で・・・まだ会うの2度目なんですが・・・』


『2度目? そっか・・・』


・・・しばらく沈黙があった


それ以上トオルはルナのことを訊かなかった


『あ、エミさん 僕ね、曲も書いてるんだ・・・』


『エミさんに今夜会って、なんだかいい詞が浮かんできてさ
 ・・・そのうち曲 出来たら聴いてもらいたいな〜 いい?』


それから、トオルが得意そうに音楽談義を始めた・・・。
私は笑って適当に頷きながら・・・心の中でルナを想っていた


今頃ルナは、”彼女”と会ってるんだろう・・・。
胸がざわめく・・・


《逢いたい・・・。ルナに逢いたい・・・。》


酔いが醒めた頬を両手で覆った
無意識にルナが触れた頬の辺りを指先で探した・・・。



・・・頬に"重なる手"の感触を感じた



トオルの手だった



『エミさん・・・やっぱり僕じゃ駄目かな?』



トオルの視線がまじかにあった・・・。


『トオルさん さっき 言ったでしょう〜
私、失恋して傷心中だから恋はお預けなの・・・って(苦笑)』


触れてたトオルの手をゆっくりテーブルにおいた・・・


『じゃあ、エミさんの傷が癒えるような曲を書いてくるよ
それからエミさんをもう一度誘惑する?いい?』



『ええ、いいわよ〜できるものなら・・・(笑)
でもね1曲くらいでは癒えないかもしれないわよ(苦笑)』



『何曲でも書いてみせるさ・・・』



トオルが涼しい目でみつめた



《・・・ルナでないと駄目なの・・・ルナでいっぱいなの・・》



私は心の中でそう呟き トオルの涼しい瞳を弾いた