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Runa&Emi(ルナ&エミ


 INDEX



                    【誘惑〜5〜知りたい】

                            


『彼女』と待ち合わせ


ルナの言葉に 私のすべての動きが一瞬にしてとまった


《彼女って?》


『ウフフッ・・・エミさんって わかりやすいひとね
もしかしたら(笑)酔ってる? 顔赤いわよ・・・』


ルナが、凍った表情の私の頬に触れた その手はひんやり冷たかった。


その時、BARの入り口のドアからトオルが顔だけ覗かせた


『エミさん?』 


私とルナを視界に捉えると驚いた顔をし中には入らず声をかける



『エミさん 僕、外で待ってるね』



ルナの方に軽く会釈するとトオルはドアの向こうに消えた


ルナの横顔を見ると さきほどの笑みはなかった
このとき二人の間に漂った、ただならぬ空気を感じた


ルナは取り出したタバコにスリムなお洒落なライターで火をつけた


『エミさんの彼?』


『いえ 違います! 彼は 彼氏ではなく、え〜とお友達・・・といっても
 今日、会ったばかりで・・・その・・・友達の彼の友達で・・・(汗)』


言葉がもつれて 何をいってるのか自分でもわからなかった


ふたつの出来事で 頭の中がパニックになっていた



ルナの口から出た“彼女と待ち合わせ”
ルナとトオルの不自然な視線の弾きあい


なにから訊いていいのかわからない
・・・けどなにか言わなきゃと思った


『あの・・・ルナさん・・・?』



『早く行ってあげなきゃ ほら〜彼 待ってるんでしょう?』


ルナは質問を、避けるように私を諭した


『エミさん 近いうちに電話しますね・・・今日は逢えてよかった・・・』


ルナの表情に、これ以上ここには居ないでと・・・読み取れた


『わかりました。 じゃあ、お電話待ってます・・・』


重い足取りで、ドアに向かった


階段を登るとトオルが待っていた…



『エミさん 酔ってる?』



トオルが歩きながら訊く


『いいえ、もう醒めちゃったみたい・・・。大丈夫です』


『エミさん、話したいことあるんだけど・・ちょっといいかな?』


『えっ、でも、亜紀子たちが待ってるでしょう?』


『シンジと亜紀子さんには、言ってきたから 大丈夫だよ』


(あ、もしかして、これって亜紀子たちが仕組んだ作戦?!) 


二人きりは抵抗あるけど、トオルには訊きたいことがあった
(それはルナとトオルのさっきの気まずい雰囲気の理由 )


亜紀子たちの前だとそんな話もできないし訊けないし・・・


『ねぇ トオルさん お酒はもういいから、私、コーヒーが飲みたい・・・』


『わかった え〜と じゃあ、あそこ行こうか』 


ビルの角の先に見えるカフェの看板をトオルが指差した


歩きながら・・・私には“知りたい”ことがもう1つ頭の中で渦巻いていた


《待ち合わせの相手は“彼女”》さらりと答えた ルナの言葉

その“彼女”の意味が気になる どんな関係?

その“彼女”は彼女でルナの恋人?(もしそうなら ショック・・・)

その“彼女”はただの女友達を指してるのかもしれない


信号が青になり ぼんやりしてた私を促すようにトオルが
肩に手をまわそうとした・・・

私は、さりげなくその手をかわした