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 Runa&Emi(ルナ&エミ



INDEX

                       【誘惑〜4〜彼女

                            


 ――ルナがすぐ横をすり抜けて降りていく


途中・・・トオルとルナの目線が合った《気がした》


気まずい様子でお互い目を逸らした《・・ように一瞬見えた》


《・・・それは私の気のせいなんだろうか?》


トオルの背に隠れてか、暗くてわからなかったのか 
ルナは私には気づかず階段を降り店に入っていった


突然のことで、ルナに声をかけることができなかった


BARを出ると 外の空気が火照った頬に心地好い
私は店の前で足がとまり動けなかった


前を歩くトオルが気づきふり向く


『エミさん 大丈夫?気分でも悪い?』


『エミ 大丈夫?』亜紀子もシンジもふり向く


私は、はっと気づいた
 ルナに逢ったんだ・・・ルナがこの店にいる
 

《そうだ・・・訊かなきゃ 謝らなきゃ・・・》


『ねっ 亜紀子 先行ってて・・・ 私、忘れ物したかもしれない
ちょっと 店戻って見てくるね 』


『一緒にいってあげようか?』トオルが言う


『ううん 大丈夫^^; すぐ戻ります 』


3人が向かいのビルに歩き出すのを見届けると
いま出てきた店の階段をドキドキしながら降りた

 
《確かルナはひとりだった 待ち合わせかな・・・》


ドアを開けると、懐かしい“LOVE SONG”が流れていた


マスターは、私を見ると おやっとした顔を一瞬したが 
なにも言わず”いらっしゃい”と笑顔で迎えた


その声でカウンターに座っていた ルナが私に目を向けた


胸をおさえながら ルナの座るカウンターに近づく


バックで流れる “LOVE SONG”にルナの声が重なる


『エミさん?・・・だよね』


あの雨の日カフェで言葉を交わしたルナの瞳が、目の前にあった


『ルナさん 私・・・ごめんなさい・・・』


『えっ なに? 突然 謝られても困るんだけど(苦笑)』


『わたし、ルナさんに番号書いてもらった【栞】を失くしちゃったんです;;』


ルナは目線を灰皿に落すと


『そっかぁ〜 だから 待てど連絡こないわけだったんだ・・』


『ごめんなさい わたしったら・・・』


『ううん いいの 私もエミさんに連絡先訊いておけばよかった
ってあとから思ったの・・・。 そうだ いま教えてくれる? 』


ルナが携帯を取り出す・・・


『そもそも、紙に書いたのが間違いね(苦笑)
私が、エミさんにかけるから番号言ってくれる?・・・』


私の番号を打ち込むルナの指先を見つめる


『ハイ オッケー(笑)これで失くすことないね』


そのとき私の携帯の着信音が鳴った・・・


ルナが今入れた番号からだと思って出ると それは亜紀子からだった


『エミ〜遅いよ〜! 忘れものあったの?』


『ごめん〜 今から 行くから待ってて』


『今、トオルくんが心配してそっちに迎えにいったよ〜』


え、トオルがここに・・・それは困る(汗)
ルナにへんな誤解されたくないし、早く店出なきゃ・・


慌てた様子の私をみてルナが微笑んで訊く


『もしかしてデート?待ち合わせ?』


『いえ、ち、ちがいます・・ともだちです。
待ち合わせしてて あのごめんなさい 私、行かないと・・』


『じゃあ またゆっくりお話しましょう』


このままずっといたかった
ここでルナの黒い瞳に誘惑されたかった・・・。


ひとりカウンターでグラスを持つルナが気になった


『あの、ルナさんはお一人?』


『ううん、待ち合わせよ・・・』


ルナのタバコを持つ指先を見つめる
(わたしったらどうして目がいくんだろう・・)


『あ、そうですか?もしかして彼氏とか?』


『ううん 彼女・・・』


タバコの火をもみ消しながらルナが笑って答えた・・・