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【誘惑〜3〜色香 】
そっか〜 失恋で傷心中・・・。 じゃあ僕と同じだね しばらく恋はしたくないっていうのも・・・』
トオルはグラスのウオッカを飲み干す
『でもね、僕はエミさんに今夜会って・・・。 しばらく恋しない・・・の決心は揺らいじゃったけどね』
『トオルさん 上手いのね・・・』今度は笑顔で見つめ返した
『エミさんは、色っぽいね とても・・・』
トオルは、真剣な目を燻らすタバコの煙に泳がせる
『えっ セクシーってことですか?そんな〜私なんか・・・』
『いや、”セクシー”と”色っぽい”は違うよ・・僕の中ではね』
『違うって?』
『セクシーさは作れるよ・・・誰でもね。洋服だってメイクだってね 外面をセクシーに装うことはできる でも”色っぽい”は違う 内面から出てくるものだよ 誰もがもっているもんじゃないさ 』
『エミさんが店に入ってきたとき、僕は一瞬にして心奪われたよ もちろん その色気にね・・・ 』
どんどん甘い言葉を吐き出す・・・トオルは酔ってるのかもしれない そして私も酔っているのかもしれない・・・軽いめまいがした
カクテルよりその言葉たちに・・・私は酔ってしまいそうだった
『ちょっと、すみません 化粧室へいってきますね・・・』
席を立つと、そんな私に亜紀子が気づいたのか あとを追うように席を立ち化粧室に入ってくる
『ねっ、ねっ エミ〜どう〜♪話し弾んでる?』
『ねえ 亜紀子 そろそろ私、帰りたいんだけど・・・』
『まだ、早いじゃん〜、なんかお腹すいたしさ 向かいのビルの居酒屋に 移動しよっかてシンジが言ってるの 行こうよ〜飲みなおそう エミ〜♪』
『それか、トオルくんとふたりでここでまだいる?』
亜紀子はVサインをしておどけてみせる
『私、もう帰るってば〜 寄りたいところもあるの・・』
『え〜こんな時間にどこ寄るのよ?それにそんな赤い顔でひとりで ウロウロしてたら危険よ〜エミ〜』
頬に手をあてる 鏡に映った顔はたしかに、ほんのり赤い・・・
なんだか 鏡を見てたらひとりで帰るのも空しくなった私 結局まだ亜紀子たちと付き合うことになった…
(今夜だけいいか・・・トオルとは音楽の話でもすればいいしね)
地下にあるバーの細い階段を 亜紀子たちと順に縦に並んで 出口目指して登っていたとき 店に下りてく人影が見えた… 壁側により通路をあけてその人と交わす空間をつくった…
『すみません』そう言いながら降りてくる人影が近づいたとき 私は、息が止まりそうになった…
その人影・・・それは ルナだった…
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