Runa&Emi(ルナ&エミ)partV


INDEX


                   
 【A lonely heart】


                           

帰るわ…


涙目で立ち上がるエミに言葉も掛けず…


メンソールシガレットを片手に
ただ黙って慌しく出て行くその背中をルナは見送った


閉まるドアの音が響いた…





灰皿の中の吸殻を数えながらルナは後悔した


どうしてひきとめなかったんだろう…
どうして追いかけていかなかったんだろう…


今更遅いね…



エミィ…今夜は注意もしてくれなかったね 


煙草に火を点ける度
”ルナ また吸うの〜身体に毒よ〜はい今日はもうおしまい”
そう言いながら煙草ケースを閉じるエミの顔が浮かんだ




テーブルの二つのワイングラスを見てルナは苦笑した


まるであの日と同じね


いつかマユが訪ねてきた朝 
エミは部屋を飛び出していった


あの時もテーブルにはワイングラスが二つ並んでいた





エミの飲み残したワイングラスを見つめ呟いた


エミィはいつも最後までちゃんと話を訊かないまま
勝手に勘違いしてしまうね
エミィはいつも物事を悲観的に捉えてしまうね

マユとのこと…確かに軽率だったって反省してる

でもそれはエミィと出逢うずっと前の出来事

やっぱりいいわけになるかもしれないけど
誘われてお酒の酔いの勢いもあったし
マユも私も あの夜はお互い特別寂しかった

それはどうしてだったか・・・ 
エミィにこんどちゃんと話すからね





やれやれ・・・とやっと立ち上がり
グラスを台所に運び開いた窓とロールカーテンを閉めた


“いつだってクールなルナが好きよ…”


エミのいつものセリフがよぎった


ねぇ…エミィこれでよかったの?

 
私だってどんなときも
クールでいれるわけないじゃないよ


ルナはもういちどカーテンを開き霞んだ月を見上げた



〜Lonely Heart〜
そう…きっと貴女も私も〜

そんな曲がBGMから流れていた



さて…ご機嫌斜めの彼女には
どんなタイミングでメールすればいいのかな…


ルナは携帯を開いた…


『…あれ?』


着信履歴が一件画面に出ていた
サイレントモードにしていたから気付かなかった


『きっとエミね…(苦笑)』


…ん?


だが、ルナの電話を鳴らした相手はエミではなかった…