Runa&Emi(ルナ&エミpartV


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   【Talk to me】                       




『…えっ…』


『…何?…』


再び・・ルナと私は同時に声を出した


目を合わせながら…互いの次の言葉を待った


『あっ ルナ…ごめんね…先に話して…』


下を向く私に少し苛立ったルナの声が聞えた


『エミィ どうして…ごめんって言うの なにか悪いことした?』


まっすぐみつめるルナの目が悲しく映った


『…だって ルナ 聞いたんでしょう?』


『・・・・・』


数十秒間 二人は沈黙したままだった






ルナの吐き出す煙草の煙りが漂う…


『ねぇ エミィ 私と…どこか遠慮しながら付き合ってる?』


(ううん…そんなことない…)


声が出ず首を左右に振る私




煙草を灰皿の中でもみ消すルナの指先の動きを 只、見つめた 


『私が仕事忙しくたって…言えばいいじゃない 聞いてほしいことあるの 話したいことあるのって
少しぐらいの我儘だってかまわない 何でも素直にぶつけてくればいいじゃない…』


今、目の前のクールな瞳に映る私は泳げない人魚だった


(ルナ…好きだから 愛してるから だから…だから言えないこともあるの…わかって…)


心の中で答える私は ルナの瞳の中の冷たい海のなか沈んでいくようだった


『……』



小さな溜息をつきルナは
空になった私のグラスにワインを注いだ


『エミィ…飲んだら?』


『…うん ありがと…』


グラスに揺れるワインが私の心をも赤く染めていくようだった


BGMのチャンネルをチェンジし…
ルナはお皿の珍味をつまみ ふっと笑った



『私は リッコに会ったって言っただけなのに…』



『えっ・・』



『仕事で出向いたビルで偶然会ったの 次の打ち合わせで急いでたから・・挨拶 交わしただけよ
すれ違いざまにリッコが“こんどエミさんも連れて一緒に食事行こう”って言ったからそれをエミに伝えたかったのよ・・・』



(そうだったんだ…わたしったら…)





ルナはもう一本煙草を取り出し火を点けた



『昨日ね マユに話があるからって呼び出されたのよ…』












                                                      

HO