TYPE HTMRuna&Emi(ルナ&エミ)partV


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                      【〜Only you〜ピロートーク〜B】

 

                           

―ふたりの沈黙がどれくらい続いたのだろう…


すっかり陽が落ち外灯が点りはじめた公園
夜景目当てのカップル達が何組もベンチの前を通り過ぎていく


『暗くなってきたね…そろそろ行こうか エミィ』


ルナがベンチから腰を上げた


「どこ行くの…ルナ?」


『エミィったら 私の部屋に決まってるでしょう…(微笑)あ、そうだ駅前のコンビニでアイスを買って行こうね』


「……」


私は、ルナの瞳にぎこちなく微笑み返した。


ルナは憶えていてくれてたんだ…。
昨年のこの公園の帰りだった
はじめてルナの部屋に行く途中 コンビニでアイスを買っていったことを…


NY行きの話しなどなければ、今頃 ルナの腕に絡まりはしゃいでいただろう


『エミィ…そんな哀しい顔しないで まだ肝心なこと 話せていないのよ…
さっ 行こう』


私の肩をルナは抱きしめた…。




マンションに着くまで
ずっと言葉少ないふたりだった…。






玄関のなかで
いつものように 互いの唇を探りあい暗闇のなかの長いkiss


途中 不意にルナが唇を離した


『そうそう…今日は溶けないようにしなきゃね(微笑)』


アイスの入ったコンビニ袋をかざし 
キッチンへと向かうルナの背中に…ずっと、我慢してた感情が弾けた


「ルナ…イヤよ…」


ルナの背中に抱きついた

そのはずみでコンビニ袋が床に落ちた


『エミィ…どうしたの…』


「…イヤよ  ルナ…行かないで!」


「どうしてなの…、どうして…! 離れない 離れたくないって言ってたじゃない
あれは嘘だったの…」


堰を切ったように涙が溢れ出した
ルナの背中を涙の粒が濡らす


『…エミィ…』


ルナのかすれた声が背中越しに聞こえた


『私だって 離れたくないよ  私だって…辛いのよ…。
どれだけ悩み 苦しんだか…、エミィにはわからないでしょう…』


廻した私の腕を解き ルナはゆっくり振り返った
ルナの黒い瞳も涙で濡れていた
 

「…ルナ」


両手をとりあい電気もつけずの暗い廊下に
するするとふたりは座り込んだ




廊下で泣きながら抱き合い…
ふたりで這うようにベッドに移動した…。









「ねぇ…ルナ ルナはリツコさんを愛してるんでしょう?」


…呼吸が落ち着いた後のピロートークはそんな質問から始まった


目を閉じたままのルナの唇を指先でなぞる…



『愛してる…っていったら?』


「やっぱりって…言うわ…」


『うん 愛してる…』


「やっぱり(苦笑)」


『でもね…、その愛は…エミィを愛する気持ちと違う』


「わかんないわ…愛してる…は愛してるでしょう…」


『…』


『一番の大切な親友として…愛してる…だから幸せになって欲しい』
私が しばらく一緒にいることでリッコの心の傷跡が癒えて そしてまた幸せを見つけられるならと思った…だから…』


話し続けるルナの唇を指先で塞いだ…



もうそれ以上 聞きたくなかった…
誤魔化さないで
愛してる…でいいじゃない
愛の形なんて星の数ほどある
だから いいじゃない
でも順位をつけるなら私が一番よね…ルナ

どんな愛でも私は負けない
ルナを愛する気持ち 誰にも負けない



『…ん…』


ルナが私の指先を掴んだ


『エミィ…、なにしてんの…最後まで話を聞いて……』


今度は唇でルナの言葉を塞いだ…


「ねえ ルナ 連れてって…」