TYPE Runa&Emi(ルナ&エミ)partV


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                    【〜believe in love〜9〜

 

                           

リツコの潤んだ瞳が真っ直ぐルナを見つめた


「私…ルナから 離れたかったの…」
 

『離れたいって…?何故?』


「ルナに会うたびに、エミさんを深く愛してるんだって感じたわ
だから 私も負けずに恋をしよう… 誰かを愛そうって思ったの
今の彼に出会ったとき 今度こそ大丈夫って思った…。
ニューヨークへ転勤だと彼から聞かされたときに迷わずついていこうって思った」


リツコはサイレントのままのテレビをOFFにした
OFFになったテレビの画面には並んでベットに座るふたりが映った


「エミさんを愛してるからって ルナが私の手をほどいた あの夜…」


あの夜…それはエミと出会ってからのこと
部屋に残した荷物をとりに来たリツコが抱いて…と背中越しに手を廻した夜があった


「リッコは一生必要な存在 失いたくないのって言ってくれたね
嬉しかった 私も同じ気持だったから…。 でもね…所詮 それは親友としての失いたくない
そこに私の欲しい愛はない。 わかってた…其れでいいと思った 
でもね、やっぱり欲しかったの ルナの愛と…ぬくもりが…」


『リッコ…』


「近くにいれば、また私はルナをまた求めてしまう…。
一生 手に入らない愛を求める自分が辛くて…だから…だから…ルナから離れたかったの」


「ここ(ニューヨーク)に来て望んだ幸せが掴めそうだと思った
でも なんだかとても無理してる自分に気づいたの…
そんななか 彼とのゴタゴタに疲れて…気がついたら手のひらの錠剤を数えず飲んでしまってた
リセットはできなかった…だけど…目ざめてよかった だって こうしてルナにまた会えたんだもの…。」


リツコの瞳から再び…大粒の涙が零れた


その涙に忘れたくて忘れられない
もうひとつの【あの夜】の出来事が再び思い出された


3年前…
同時期にそれぞれが報われない恋に傷つき やり切れない夜
抱いてと泣きながら胸にすがるリツコの瞳に壊れた心は理性を失くし
友達のラインを越えてしまった…そんな夜があった


『リッコをこんな風に追い詰めたのは 私のせいね あの時…私がリッコを…』


「それ以上言わないで…ルナが悪いんじゃないんだから」



『…リセットできるなら あのときのふたりをリセットしたいよ リッコ』



それはイヤとリツコは首を強く横に振った






『ねぇ リッコ…私 リッコに何をしてあげられるの?』


「…今は…
ううん…今だけでいいから ただ ルナの胸で泣かせてほしい…」


胸に顔を埋めるリツコの肩を抱きしめたとき
あの頃とは違う感情が自分の中にあることに気づいた



『…リッコ  私はリッコのこと愛してるよ…。
それは、きっとエミを愛する想いとは違うと思う
じゃあ どんな愛なのと聞かれても自分でもわからない
ただ言える事は 私にはリッコは必要なの…。
だからお願い 自分を大切にして もう軽はずみなことはしないで…』


腕の中で泣きじゃくるリツコは
あの頃より一回り小さくなった気がした


傷ついた鳥の羽をいたわるように
リツコの髪をそっと何度も掬いながら
いろんな想いが交錯した…そして涙が溢れた