TYPE Runa&Emi(ルナ&エミ)partV


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                    【〜believe in love〜8〜

 

                           

『リッコ…』


二度目の声でやっとふり向いたリツコは目を見開き驚いた


「ル、ルナ ど…どうして……ここへ」


呆然としたままのリツコのベットの横にルナは立った


『まったく とんだご招待だよ リッコ(微笑)』


目の前のテレビではドタバタコメディっぽい賑やかなシーンが画面に映し出されていた
ドア越しに聞こえた会話はどうやらテレビの中だったらしい


『やれやれ ノックの音が聞えなかった 原因はこれね(苦笑)』


リモコンを手にとりテレビのボリュームを下げた


「毎週欠かさず見てたの…アメリカのコメディードラマって最高よ 面白いの(苦笑)」


『そう…、とりあえず テレビ見て笑ってるリッコに安心したわ』


そう言うと取り繕うリツコの笑顔が歪み…
大きな瞳からみるみる涙があふれ出した


「ルナ…、ごめんね…私のために…」


ポロポロ落ちる涙を手で拭いながら
肩を震わせ本格的にリツコは泣き出した


そんなリツコの隣にゆっくり腰掛けた


ありふれた慰めの言葉はたくさんある


だけど…今は ただ黙って
リツコの涙がとまるのを待とうと思った







サイレントにしたテレビの画面は
ドラマが終わりニュースに変わっていた
リツコの横顔が乾いた様子に問いかけた


『リッコ… 一体 何があったの?』



「……」


リツコの唇が重く動いた


「…リセットしたかったの…」


『リセットって?』


「眠れるだけ 眠って目覚めたら、真っ白になった私がいればいいのにって思ったの…」


『何言ってんのよ! もう目覚めたくない覚悟だったんでしょう?』


縦にも横にもリツコは首を振らなかった


『原因は彼なの?』


リツコは視線を落とし…わからないのと俯いた


「…まだね 切れてなかったのよ」


『切れてないって?』

 
「ニューヨークに彼を追ってきた女がいたの…
その人は、必死に自分と彼との歴史を語ってくれたわ
泥棒猫だとか罵倒もされた…。 
何言われてもね 平気だった 一番愛されてる自信があったから(苦笑)』




『それで、彼は?』



「何も問い詰めてないのに…いい訳ばかり並べ立てる彼にうんざりして
無責任な愛をばらまいた結果でしょうって…言ってやったわ
ただ 今は君を愛してるからって私を抱きしめてくれれば そしたら信じていられたのに…。」



同じような話を以前も聞いたなと…やるせない溜息が毀れた
恋愛に不向きだとリツコは嘆くが…そうではない
結果がいつも振り返れば同じだということだけじゃないか


「私ね…彼を本当に愛していない…」


『愛してない?ってどういうこと?』


「愛されてるから 私も愛さなきゃっていけないって無理してたのよ
一緒にいれば愛せるって思ってた」


『バカね 無理して人を愛することないじゃない…私なら、できないよ』



「…そうよできない…」


リツコの大きな瞳が潤んだ


「ねぇ ルナ… 私が、ニューヨークにきた本当の理由を教えてあげる…」