TYPE Runa&Emi(ルナ&エミpartV


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                     【〜believe in love〜7〜

 

                           

ニューヨークのJFK空港


空港にはリツコの父が迎えに来ていた


「ルナさん お久しぶりです…。今回はリツコのことでこんな遠くまで
来て頂き申し訳ありません」


深々と頭を下げるリツコの父はロマンスグレーの長髪をバックにまとめた
いかにも芸術家って感じのお洒落な紳士だった


リツコの父に会うのは大学の卒業式以来だった
今回のことで心労が重なっているのだろう 
その疲れた表情は年齢よりも幾分老けたように見えた



病院はタクシーで20分ほどですと
リツコの父は荷物を手にとって歩き出した



走り出したタクシーの窓から見える摩天楼の街


巨大なビル群に目が霞んだ 
映画のスクリーンで何度も観たマンハッタンのストリート
いま この目にリアルに動く映像が映し出されている…


〜私はカメラマンでルナはフリーライターね 
夢は、なんたってアメリカよね…ルナ(微笑)〜


学生時代…夢を語り合ったリツコの大きな瞳と笑顔が浮かんだ


・・・胸の中で呟いた

こんな形で、夢の地の空気を吸うことになるなんて
思いもよらなかったよ…リッコ



 

「あの子は、肝心なことは私には言わないから…本当に困った娘です」


肝心なこと?
もしかしてリツコは恋人を追ってニューヨークに来たこと
お父さんには言ってないのだろうか


『あの…お父さん リッコの彼のことはご存知ですよね…?』


「ああ、知っています リツコに今回のことはその彼氏のことが原因なのかと聞いても
首を振って…飲む量を間違ったのよっていうばかりで何も話してくれない…」

私に心配を掛けたくはないからという気持ちは分かるがと
リツコの父は憔悴した表情で溜息をついた


「父親の私に話せないことも、長年の親友のルナさんになら
なんでも話すことだと思います。短い時間ですがあの子の傍にいてあげてください」


『分かりました 私にとってリッコは大切な親友です…。
何があったのか…聞いてみます』


「お願いします」



リツコの父が再び深く頭を下げた



病院に到着しタクシーを降りると リツコの父は
ロビーで病室の案内だけすると私は夕方、また来ますと
待たせたままのタクシーに戻っていった






病室のドアの前で深呼吸した


コン コン…
二度 ノックをするが返答がない


部屋の中からはなにやら会話らしき声が聞える…


三度目のノックにも返答がない


『……』


思い切ってドアを開けると
ベットの上に座ったリツコの姿が見えた


『リッコ…?』