Runa&Emi(ルナ&エミ)partV


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                    【〜believe in love〜4〜

 

                           
スクランブル交差点が黄色の点滅から赤に変わった


後ろから足早に私を追い越そうとした人が
信号の赤にあきらめて立ち止まった


すぐ前に立ったベリーショートの女性に
思わず あっと声が出た


『もしかして…ミチネエ〜?』


「えっ…」


私の声に振り向いたのは間違いなく従姉のミチコだった


「お〜!エミ〜じゃん ひさしぶり〜♪」


ミチコは両手を広げておどけたポーズをした


信号が青に変わり周りの人波が動き出した 
互いの近況を話しながら交差点を渡った


『ミチネエはもしかして仕事?』


「ううん 今日は友人とデートだったんだ〜(笑)まったく色気ないよな〜」


相変わらずさばけた口調のミチコは私に、エミはデートかと聞いた


『うん デートでした…友人とね(笑)今 帰るとこなの』


予定がないなら夕飯でも食べに行こうかとミチコが誘った
ルナは、今日 仕事で忙しいから会えないといっていたから
もちろんOKのふたつ返事をした


ミチネエと会うのは何ヶ月ぶりだろう
色々聞いてみたいことも聞いて貰いたい事もあった…


駅までの通りにある和食の店に入った
席に座り 何から先に話そう…思案してると
先にミチコがきりだした


「あ、そうそう エミ 勿論知ってるよね? リツコがニューヨークにいったこと」


『うん…』


ミチコとリツコは仕事仲間だった 知ったときは意外な繋がりで驚いた
ルナとも数年前にブライダル特集の記事を通じてミチコと会っている


不思議なものだと思った…
私がルナと出逢うずっと前から3人は関わり合っていたなんて


「もう、向こうに行って2週間か〜、リツコ 大丈夫かな?」


煙草に火をつけながらミチコがちょっと心配顔をした



『大丈夫って?』



「うん リツコの今の彼 ちょっと知ってるんだ あまりいい噂 聞かないからさ
ちょっと心配だなって思ってさ〜」



ミチコの話によると、その彼はバツ一で離婚の原因も同時にふたりの女性と
付き合っていたことだとかで結構問題多い人らしかった
リツコには一応忠告はしたものの、私は大丈夫だからときっぱり言われれば
それ以上、他人の恋愛事に口は挟めないでしょうと苦笑いをした


ふっとルナの顔が浮かんだ


きっと、知らないはずよね
リツコが言うわけないだろう
 
ルナが訊いたらどう思うだろう…
一番の親友のリツコのこと きっと心配するに違いないだろう…



「そういえばさ、ルナさんは元気?」



ミチコがタイミングよく質問する

たぶんルナと私の仲をミチコは気づいているはず
この機会にちゃんと話しておかなきゃ…


『ミチネエ…、実はルナと私は…ね…』

神妙な表情に何かを察したのだろう
私の告白を最後まで聞かずにミチコは言った


「知ってるよ エミ(微笑)私はちゃんと理解してるからさ…」


そしてふ〜っとタバコの煙を吐きながら
やっぱ血は争えないねと笑った


この日、何年も聞けずにいた
ミチコの本当を知った夜でもあった







その頃ルナは…






いつものように次の企画の打ち合わせが終わり
帰り支度をしていると、上司に呼ばれた


社長が話しがあるからと
近くの割烹料理店に連れていかれた



「ルナくん…実はな私の友人がニューヨークで日本人向けのコミニュティ情報誌など
手がけてる出版社と取引があって、今、ライターを探してるということなんだ」


「それでだ・・・単刀直入に言うが、向こうで仕事をしてみないか?」


『えっ…あの…ニューヨークでですか?』


あまりの突然のことに言葉に詰まった


「入社時 面接で君は将来は海外で活躍するフリーライターを目指してるといってたね。
うちにいても小さな仕事しか回ってこない。君は優秀だ、他からの評判だっていい 
君の才能をもっと伸ばしてやりたいと思ってる」


『あの…でも私…』


社長は喋り続けた


「君の夢の一歩になるきっかけができるチャンスかもしれないと思ってね
なんでも君はニューヨークに友人もいるらしいじゃないか
向こうで知り合いもいれば心強いだろうしね」


リツコのことは、カメラの仕事を依頼したりされたりで何度か上司に紹介もしたことがあった
最近、ニューヨークにいったことも上司に報告してたから社長も耳にしたんだろう


頭の中でいろんなことが駆け巡った
たしかに私には夢があった

あきらめているわけじゃないけど
でもいますぐには…


エミィ…


一番に頭に浮かんだのは愛しい人だった








                                                     

ME