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【〜believe in love〜1〜】
ミサオから電話があったのは、ロスに帰国する日の朝だった
『今日、午後の便で発つね〜。エミ ほんと会えて嬉しかったよ いろんな話もできたし なによりも…エミがいま幸せだって確認できたから 安心してロスに帰れるよ』
電話の向こうのハスキーボイスはだんだん遠ざかっていく
「ミサオさん ありがとう…。…見送り拒否は寂しかったけど…」
『あっ いいよ エミ 今から見送りきてくれてもさ〜』
「えっ いいんですか?」
『うん そのかわりパスポートを持って 覚悟してきなさいよ(笑)』
「ミサオさん…」
冗談よと受話器の向こうで笑うミサオの懐かしい声の響きに ミサオさんもどうか幸せになって…と心から願った あなたの夢と活躍を遠くから見守っています いつまでも輝いていてください
ミサオさん 私を愛してくれてありがとう…。
見上げた空には…ひこうき雲がきれいな直線を描いていた…。
ルナと出会ってから三つの季節が過ぎ…
ふたりで迎えた四つ目の季節は桜が咲く…春になっていた
夜桜を見に行こうかと仕事帰りにいつものターミナル駅で ルナと待ち合わせをした
前を歩くカップルが立ち止まりながら桜並木をカメラに収める姿に 私たちも撮ろうとルナが携帯の画面をカメラにした
やっぱ写真撮るの下手だな〜とルナが画面を見て笑った
『あっ そうだ 写真で思い出した! リッコが今度の日曜一緒に食事に行こうって エミィの予定はどう?』
「ええ、もちろん大丈夫よ」
『じゃあ OKの返事しておくよ、なんでも今月末にはニューヨークに行くらしいから、来週しか空いてないって言ってたからね』
「ニューヨーク?」
ルナの話によるとリツコの恋人がニューヨークに転勤になり引越しやらの手伝いにいくのと リツコの父もいまニューヨークでカメラマンで活躍していて どうやらリツコも向こうに住み 父の仕事を手伝うらしいとのこと…ようするに彼と同じ地に住みたいのだろうということだった
「そうなんだ 恋人が出来たんだね リツコさん…」
(恋人ってあの時の人なのかな…?) BARで、スーツ姿の男性と親しそうにお酒を飲み話し込んでいた リツコの顔が浮かんだ
『またニューヨークなの?って言ったらリッコは偶然よって笑ってた』
「また?って」
『エミィ リッコから訊いたでしょう?以前好きな彼を追ってニューヨークまで行って実は彼がゲイだったから振られたって話』
「あ…うん…」
あの時 ルナとの思い出を語るリツコの大きな瞳のなかに 紛れもなく嫉妬の炎が見えた気がした
『今度の彼はゲイじゃないらしいから安心したけどね(苦笑)』
ルナの寂しい表情は、親友が遠くにいくからだろう ただそれだけ…なのだろうか 胸がざわめくのは何故だろう なにかが起きる予感がするのは…気のせいだろうか
ううん 何も起きるわけないじゃない ルナの愛を信じてるもの
『あ…この桜の木…綺麗だね』
ルナが立ち止まった
ふたりの間を花弁がハラハラと舞う その桜の木にアングルを合わせながらルナが言った
『ねっ エミィ…。一緒に暮らさない』
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