TRuna&Emi(ルナ&エミ)partV


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                  【〜Her Lingering scent〜4〜

 
                           

『エミィ 帰るつもりだったの?』


傘を差しかけ濡れた肩をルナは抱きしめた…
額を流れる雨の雫を拭う指先に切なさが込み上げてくる


「ごめんね ルナ…」


『なんで謝るの…エミィ なんか悪いことした?(微笑)』


顔を上げるとルナの黒い瞳のなかに私が映っていた





降りしきる雨の中
ひとつの傘でルナのマンションに向かい
ドアを閉めた玄関でくちびるを探りあい長いKISSを交わし
雨に濡れた服を脱がしあった…
シャワーの雨の下で狂おしく抱き合い
ベットで溶けあい…何度も何度もルナの名を呼んだ…
ルナの魔法で痺れた体のまま 私は夢の中に落ちていった



あれから何時間経ったのだろう…



目を閉じたまま
快適な温度の中で私は微睡んでいた


『雨…よく降るね…』


ルナの声に、ブランケットをずらし雨の音を聞いた
雨はまだまだ止みそうにないリズムで窓を叩いていた


「今日は一日雨模様ね… でもこんな雨の日もいい感じ(微笑)」


『エミィは雨の日がお気に入り?』

「うん…。ルナとはじめて出逢った日が雨だったから
だから あの日から雨の日が好きになったの…」


『そう…』

ルナは笑みを浮かべブランケットを私にかけなおして
ベットを下りた…

『エミィ 何か飲む?』

「うん…じゃあ アメリカンコーヒーで…」

『はいはい じゃあ少しお待ちくださいませ』

キッチンに向かうルナの背中を見詰めながら
こんな幸せな時間がずっと続くこと信じて疑わなかった




コーヒーをふたつテーブルに置き
BGMの音を絞ってルナは
じゃあゆっくり話そうかと私をソファに促した

 
ルナの好みのタバコの煙が部屋に漂う…



『エミィ マユに会ったよね?なにか言ってた?』


「ルナの部屋に昨夜泊まったって…」


『そうなんだ…。それきいたから帰ろうとしたの エミィ(苦笑)』


「……」


ルナは煙を吐きながら窓に視線を移した


『ねっ エミィ 今度はちゃんと最後まで話を聞いてね 
聞きたくないっていわないでほしい…』


「うん…」


まず昨夜のマユの訪問の経緯をルナは話し始めた


時折 私の表情を窺うのは 言葉を選んでるのだろう
クールなルナの優しさが伝わる


マユの話から過去の恋人の話になったとき
ルナの瞳のなかにひろがる雲が見えた気がした
過去の恋 過去になったひとなのに…


まだルナの中でその彼女の残り香…が消えずにいるのかもしれない
そう思うと胸が締め付けられた…


「ルナはその人を深く愛していたんだね…」


タバコを灰皿でもみ消すルナの指先を見詰めながら
今はエミのことその人以上に愛してるってそんな台詞を聞けると思っていた


…なのにルナの口から出たのはまったく予想外の台詞だった


『…実はね この前 サオリに会ったんだ…』







                                                     





ほめ