TRuna&Emi(ルナ&エミpartV


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                  【〜Her Lingering scent〜1〜

                            



床に座り込んだままマユは
二つのワイングラスをじっと見詰めた


「やっぱ 話したんだ それでエミさん出て行ったんだね…」


『…隠し事したくなかったからね ただ、話すタイミングを誤ったなと後悔してる…』


「エミさんにサオリさんのことは話してないの?」


『・・・うん 話しそびれた…っていうか 聞きたくないって耳を塞いで出て行ったからね…』


ショックだと悲しみに歪んだエミの顔が浮かんだ


「そうなんだ… エミさん傷ついてるでしょうね…」


『私が悪いのよ…。 でもね エミと出会う前の過去のこと
そんなに責められることなのかなって思ったりもしたわ・・・』


「過去のことだと許してても・・・その相手が身近な人だと知って複雑な気持ちだったのよ
とってもルナを愛してるのよ わかるわエミさんの気持ち」


『私だって、エミを愛してるからこそ 全てを話したいと思ったのよ…』


「愛してるからこそか・・・」


はぁ〜っとマユが溜息を床に落としたとき

ピー♪

テーブルの上の携帯が充電切れを知らせた
切れた携帯を手にしたとき  ふっと思い出した


『そういえば マユ さっき電話で エミに謝ってほしいって言ってたけど 何のこと?』


「あっ…う…うん…このまえね トオルのライブでエミさんに会ったとき
睨んじゃったから きっと不快に思ってるだろうなって…」


『何も言ってなかったけど・・・どうだろう 気にしてないと思うけど…』


「私 エミさんに嫉妬してた ルナに愛されてるのが羨ましくて…。それにあの日
トオルまでがエミさんを好きでLOVESONGまで書いてたって知って
とても悔しかったの…私の欲しいもの望んだものを全部手にいれてると思うとね・・・」






壁掛け時計が午前1時を指していた


『もうこんな時間 マユ もう寝ましょう 
さっきも言ったけど お説教はほんとに今日限りだからね…。』


ワイングラスとボトルを持ち立ち上がった時 マユが言った


「ねぇ ルナ・・・  私 もうお酒やめる〜!」


『ホントに? やめられるの?(苦笑)』 


「…そっ…そうね いっきには無理かもしれないけど…量を減らして…いくわ」


マユの声は自信なさげにだんだん小さくなっていく
勢いで言ったことに慌ててるのが分かる
マユの禁酒宣言を聞いたのは今回が初めてではない 以前だって2週間で挫折したのを知ってる


私はワザと明るく言った


『じゃあ 酔っ払いからの電話はもうなくなるってことね(笑)』


「う…うん・・・(苦笑)ねぇ ルナ 」


『ん…?』


「このまま友達…でいてくれるよね?」


『勿論よ(微笑)  …マユも早くいい恋しなきゃ』

「いい恋か〜ルナに言われるとやっぱチクッって胸が痛くなる〜(苦笑)」







マユがベットで寝息を立ててからも 私はソファで眠れずに朝を迎えた


考えてた・・


リツコのときも…マユのときも…
私はなんて虚しい短絡的な行動をしたのだろう

あの頃…身体中に沁みついたサオリの消えない残り香が
いつまでも私を苦しめていた 
燻り続けるサオリを消し去りたいばかりに
目の前の温もりに思わず手を伸ばしてしまった
どうかしてたんだ 私…

ちゃんと話そう 過去の恋のことも
エミには私の全てを知って欲しい
誰よりも深く愛してるから…


ブランケットに微かにエミの香りがした…

〜Her Lingering scent〜
彼女の残香

ずっと消えないでほしい


エミィ…
早く戻ってきて




                                                     





ほめ