TYPRuna&Emi(ルナ&エミ)partV


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                 【〜Past love〜回想〜3〜ルナとマユ〜

                            



「私も寂しい…ルナさん」


マユはテーブルにグラスを置くと甘えるように肩に頭をのせた


柔らかな髪が頬に触れたとき…
小柄なマユをそのまま腕の中に包み込んだ


酔いも紛れさせてくれない この虚しい寂しさ
分かり合えるのは…ここにいるお互いしかいない


今夜はただ…抱きしめあう温もりだけが
心の痛みを癒してくれる そう思った


熱い吐息が絡みあい
…ベットの上で重なるふたりを
カーテンの隙間から月がみていた



翌朝…



目覚めると香ばしい匂いが部屋に漂い キッチンから鼻歌が聞こえた



テーブルの上のグラスと空になったブランデーのボトルが
昨夜の出来事を鮮明に思い出させた



(そうだった…昨夜はマユと…)



起きた気配に気づいたマユがキッチンから はにかんだ笑顔を見せた。



「おはようございます♪ 泊めてもらったお礼に朝食でも作ろうって
頑張って早起きしちゃいました〜♪ あっ勝手にキッチン入ってすみません」



『ありがとう いいわよ 気にしなくても… あっ 私はコーヒーだけでいいよ」



ベットから下り 洗面所に向いながら私は痛みを感じた
それは…二日酔いの頭痛と一夜の過ちを悔む胸の痛みだった。



向かいでコーヒーを飲む マユの顔に再びサオリが重なった 
私は首を振った (しっかりしなきゃ…)
まだまだ彼女(サオリ)が消えないんだ 消えてくれないんだ
愛しい人が胸を締め付ける…。




コーヒーカップを持ったままボンヤリする私を見詰めるマユ
その視線が熱く感じた



「ルナさん 大丈夫ですか?まだ酔い抜けませんか?」



心配そうに覗き込む目の前の瞳に詫びた
酔って寂しいからと軽率な行動をした自分を心の中で叱責した。


『あ、…あの マユさん 昨夜は酔いに任せて自分を見失ってしまってた。 
ごめんなさいね…謝ってすむことじゃないけど…』


カップを置きマユに頭を下げた


「そんな…謝らないでください ルナさん。私だって同じ気持なんですから 
でも 不思議なことに失恋の痛みなくなったみたい なんだかとてもすっきりしてるんです」


恥らいながらマユは続けた


「あの…ルナさん こんなときに、こんなこと言うとおかしい女だと思われるかもしれませんが…言います!
私を、ルナさんの彼女にしてもらえませんか?」


マユのあまりに唐突な告白に戸惑った


『えっ…まさか 冗談でしょう?もしかしてまだ酔ってるマユさん(苦笑)』


左右に首を振る縋るようなその瞳は…新しい恋をしたいと訴えていた。



『…ごめんね マユさん 恋はしばらく封印(苦笑)彼女も当分つくる気ないから…』


戯れだけの恋などはしたくない
きっと相手を傷つけてしまうことになるだろう



「…そ…そうですよね…、予想通りの答えだったから なんだか変に安心しちゃいました〜」


それじゃあ、とマユが望んだ関係は良き相談相手で友達でいてほしいということだった。
私もマユを友達イコール可愛い妹のような存在で側で支えよう そう思った
それは一夜の過ちを犯した 私の自分のなかでのせめてもの償いでもあった





それから暫くたったある日


マユがひどく酔って涙声で電話を掛けてきた夜があった


「もしもし ルナ…、今から会えない?会って話したいの…」


『どうしたの マユ?』



                                                     






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