Runa&Emi(ルナ&エミ)partV


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                  【〜Past love〜2〜ルナとマユ〜

                            



マユはグラスを持って仲間の輪から抜けてきた


「ルナさんは 片思いで自分からその人をあきらめたんですよね?」


『ええ そうよ どうして?』


「なんだか〜とっても落ち込み度が深く感じるんですが〜 もう何年も付き合った人と別れたような…」


マユの言葉にちょっと慌てた…
痛いとこを突かれた
傷心度が表情に出ていたのだろうか…


『そうかな〜…でもね 片思いでも 私の場合は落ち込み度は深〜いよ(苦笑)』


マユが次の質問をする間を与えず続けた


『ねえ マユさん 失恋話ばかりじゃお酒も不味くなるから
振られて乾杯〜にしておきましょうよ そうそう この前のライブのね……』


サオリの話題に触れられないように音楽の話に切り替えた






「ルナさんとなら…安心してとことん飲めそう」


部屋でまた飲みなおそうとマユを誘ったのは
酔いのせいもあった…が…
今夜はひとりになりたくなかった
誰でもいいから傍にいて欲しかったからだった


酔いのせいだろう
部屋に入ると軽い眩暈がしてベットに倒れこむように転がった


「ルナさん 大丈夫?」


『サオリ…』


見下ろすマユが…サオリの顔に映ったのだろう
無意識に名を呼んでしまった

首を傾げたマユの顔に気付きハッと身体を起こした


『ごめん 何いってんだろう私… かなり酔っ払いだね(苦笑)』


ベットから下り 少しふらつきながらベランダに向かった


『ちょっと…外の風にあたってくるね』

「私も…」

マユもあとをついてベランダに出てきた


空に浮かんだ月を眺めていると…
このベランダでサオリとよく月を仰いだことを思い出した

BARを出て行くサオリの背中を思い出し胸が締め付けられた
ふいに込み上げる涙を堪えながら自分に言い聞かせた

私は泣いたりしない…


しばらく外の空気にふれてると酔いもだんだんと醒めてきた


『さっ マユさん 部屋に入って飲みなおしましょ』




ブランデーをグラスに注いで、煙草を取り出した時マユが聞いた


「ルナさん 気付いてないんですね…?」

『えっ 何を?』

「さっき BARでも…私に サオリ…って言ってましたよ」



BARで呼んだのはまったく記憶になかった
 

不覚だった…


『…』


「サオリさんが…恋人だったんですね?」


マユの窺う瞳に…煙草のけむりを吐きながら冷静に答えた


『2度も訊かれたんなら ごまかせないね 参ったな(苦笑)』


煙草の灰が落ちそうなのに気付き灰皿を慌てて寄せる


「実は 私も女性に恋したことあるんです。
どことなくルナさんに似てる人だったな〜」


自分は異性愛者…だが、女性にも恋心を抱いたことが何度かあるんだという
いわゆるマユはバイセクシャルだった


「私 サオリさんに似てるんですか?」


『う〜ん…全然 似てないね(笑)』


「なんだ〜そうですか…似てるから呼ばれちゃったんだと思ったのに〜(笑)」





ぎこちない空気が流れてた
気分を変えようとコンポをオンにしFMにチャンネルを合わせた

流れる音楽が気分をほぐしてくれたのか 
グラスの氷がなくなると
それじゃあ…ストレートでとふたりで競うように飲んだ

さすがにボトルも軽くなると酔いもまわる




ふとFMから流れるメロディーに
グラスを持つ手がとまった


サオリが好きでよく聴いていた曲が流れていた


マユがそのメロディーを口ずさむ


「この曲 私 弾いたことあります」


『そ…そうなの…なんてタイトルだったっけ?』


「え〜と…」


答えるマユの唇を見つめた…


どうしたんだろう…私


なんだかとても切なくも寂しい気分になった


そんな気持がマユにも伝わったのか…


「酔えば 酔うほど寂しくなりませんか ルナさん…」


マユの潤んだ瞳が目の前に接近したとき…私の中で理性が弾けた




                                                     








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