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【Stop motion〜Solve magic〜】
『エミ?』
目の前で黒い瞳が揺れていた
そう… 映像をSTOPさせた声はミサオだった (今 目の前にいるのは現在(い・ま)のミサオさんなんだ…)
『エミ…ぼんやりしちゃって どうしたの?』
「思い出してたんです」
『ん? なにを…』
「…前にもこんなシーンがあったなって…」
『…こんなシーン…?』
「お酒に酔って…それからふたりでホテルに辿りついた夜のこと…」
『う〜ん…(苦笑)』 ミサオは頬に手をあて天井を見上げた
「もう 忘れちゃったんですね?」
『……』
ミサオは笑みを浮かべながら目を閉じた
BGMから流れてる歌はサビを繰り返していた
♪〜わたしは貴女の瞳に夢中になり あなたの瞳のなかで私は〜♪
やがてメロディーが途切れて… ミサオの唇が動いた
『忘れるわけないじゃない…』
そのハスキーボイスは 途切れた映像をふたたび再生させる
3年前…ミサオとのあの夜のこと
シャワーを浴びようかと腕を解こうとするミサオに私はわざと寄りかかる
『エミ〜大丈夫?…まだ酔いが抜けてないの?』
「ええ そうかも…」
(私のウソつき…酔いなんか とっくに醒めてるくせに…)
一時も離れたくなかった
このままずっとミサオの腕の中に収まっていたかった
『…ちょっと窓あけて風にあたる?』
窓際に立つ二人のシルエットは 一つになっていた
ミサオの熱い吐息が耳元に感じ… そして唇を捉われた瞬間 全身が震えた…
それから… どれくらいの時間
互いの唇を貪りあっていただろう
…
濃厚なくちづけを交わしながら 夢中で互いの衣服を剥ぎ取っていた
ミサオのしなやかな指先が 身体のラインを滑り…舌先が全身を這う…
ふたりの吐息と… 切なく喘ぎ響く声は部屋中の雑音をすべて掻き消す…
…とめどなく押し寄せる快感の波のなか ミサオの褐色の肌に爪をたて夢中でしがみついていた
やがて…真っ白な海が見えたとき 私は意識を失い そのまま夢の中に落ちていった…
その夜から…
1年後にミサオがロスに旅立つまで そんな夜を幾度 過ごしただろう
―3年前の映像はそこでSTOPされた
『私も思い出してたよ…』
ミサオが肩に手を回し私を抱き寄せる
『ねっエミ…。今夜だけこのまま魔法にかかったままでいてほしい 大丈夫 ちゃんと彼女のところには帰してあげるから…』
抱き寄せる力はあの日より強く感じた
懐かしい腕のぬくもりが私を包む 懐かしい声が…耳元に響く
私は動けずにいた…
ううん きっと動きたくなかったのかもしれない
ふたりは瞳を探りあった
そして唇が重なるまで…あと数センチ
ミサオの黒い瞳のなかに… ルナの潤んだ瞳が映った気がした
(ルナ…)
そしてルナの声が聞えた気がした
(エミィ…)
「ルナ…」
私は無意識にルナの名を呼んでいた…
ミサオは腕をゆっくり解く
『そっか…やっぱ 彼女の魔法には敵わないんだね・・・(苦笑)』
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