TYPE HTML Runa&Emi(ルナ&エミpartV


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  【Stop motion〜coming-out〜】


                            



カーテンの隙間から射す微かな光に
目を開けると自分の部屋とは違う天井が見えた


…えっ ここは…?


半身を起こした時 ずれた毛布から
なにも身につけていない肩や胸があらわになった


えっ わたしったら…何も着てない?


慌てて毛布で胸を覆い薄暗い部屋を見回した



隣で眠るミサオの横顔を見たとき
私は はっきりと目が醒めた


そうだった…ここはホテルの部屋なんだ


昨晩 偶然会った ミサオと閉店までお酒を飲んで

すっかり酔った
ミサオと私は千鳥足で店を出た…


そこまでは憶えていたのだが…









―頭の中で巻き戻しボタンを押した


BARカウンターの場面…でまず停止釦を押した




二人で選んだハートのジャケットのCDをマスターに頼んでかけてもらった


アップテンポなダンス・コンテンポラリーな曲
スローなソウルフルなラブバラードが順に流れている 

そのメロディーをミサオが目を閉じて聴いていた
時折 テーブルの上で指先でリズムをとっているのは 
頭の中でフリをイメージをしているのだろう


ステージで踊るミサオのセクシーな肢体が脳裏をかすめた



「ミサオさん ダンスはいくつからされてたんですか?」



『う〜ん 本格的に始めたのは高校出てからかな…。私ね5才から小6までバレエ習ってたんだ…。
いや 習わされてたっていうのが正しいかな〜。  母は私をバレリーナにしたかったらしいけどね(笑) 
私 プリエだの!パッセだの! 決まったポーズとるのが苦手でどうも好きになれなくて いやいやレッスンに通ってたんだ。 
そーいえば わざと無理な運動して足傷めて発表会でれませんってこともしたわ〜
悪い子だったんだ 私(笑)おかげで柔軟な身体になれたことだけは感謝してるけどね(苦笑)形にとらわれない自由な表現できるダンスに出会ったとき 
私の求めてたものはこれだ! 自分の夢 ダンスで叶えようって強く思ったんだ…』


「そうですね たしかにミサオさんはバレリーナってイメージじゃありません…(笑)」


『そうでしょ…(笑)』



「この前のステージでのミサオさん とてもカッコよかったです(赤面)私 夢中で…見てました」



『そうなんだ 夢中になってくれて…ありがと(微笑)』


ミサオの見つめる瞳とハスキーな声に耳朶まで熱くなっていた


「あ、あの そ、それで…ミサオさんの夢って? どんな夢なんですか…?」


『う〜ん それはね…
叶ったら教えてあげる だから今はひ・み・つ(笑)』

 

私が一杯のカクテルをもてあましてるのに ミサオは既に3杯目の水割りをオーダーしていた



「ミサオさん ピッチ上がってますけど 大丈夫ですか?」



『あはっ 大丈夫よ 自慢じゃないけどお酒は強いからね〜!…って…思い切り自慢してるね(笑)』


ミサオの吐き出す煙草の煙が鼻先をかすめても平気だった
(…苦手なはずなのに…)
その横顔にもっと近づきたいと思った





『ね、エミは恋人いるの?』



「えっ いいえ いません…」



『そっか〜!』



グラスを見つめながらミサオは更に質問をする


『あのさ〜エミ エミは…男と女どっちが好き?』


「えっ…どっちって…それはどういう意味ですか?」


ミサオは意味には答えず続けた



『わたしはね 男女どちらでも恋愛対象…って考えだよ 
あっ これって〜coming-out〜してるってことかな?(苦笑)』



「じゃあ私も…〜coming-out〜します…ミサオさんだけに…(微笑)」


ふたりの視線が 
見つめあうから…
絡みあうに…かわった瞬間だった