-//W3C//Runa&Emi(ルナ&エミ)partV


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 【Stop motion〜first sigh〜】


                            

ミサオの魔法で、今 動けなくなってる私


脳裏のスクリーンで巻き戻し映し出される
出逢いから〜あの夜の場面






頭の中でSTOPを押した
――まずミサオとの出逢いを再生してみた




短大を卒業し社会人になったばかりの春


友人マリが通うダンス教室の発表会に足を運んだ日の事
開演前 マリの教室の控え室を探していた


(…どこだろう どの部屋かな?)


いくつかのドアの前で迷っていると後ろから声がした


『どなたに御用ですか?』


ふり向くと黒のレオタード姿のスレンダーな女性が立っていた


「あの、○○マリの友人なのですが…」


『あ〜 マリね! マリならこの部屋にいるわよ ちょっと待っててね』


その人は目の前のドアをあけ入っていく






ほどなく出てきたマリが大袈裟に私に抱きついた


「エミ〜! 来てくれたんだぁ〜」


「最後まで いられないからさきに渡しておきたくって〜」
マリにお祝いの花束を差し出した


「ありがとう エミ〜♪ あっそうだ〜 ちょっときて〜」


マリが部屋の中へと私を引っ張っていく 


そして、立ち止まったのはさっきの部屋を教えてくれたレオタードの人の前だった


『エミー 紹介するわ〜 私の講師よ〜♪』


(えっ…この人 講師だったんだ…)



『よろしく ミサオです♪』
 

そのひとは会釈しながらじっと私を見つめた


その黒い瞳はまるで強い磁力を放ってるように
私を強く惹きつけた…


(なに ドキドキしてるんだろう…わたしったら…)


『エミー ミサオ先生のステージもちゃんと見て帰ってね!』


マリに言われなくても プログラムでミサオの出番を探すつもりだった





ミサオのダンスに私はカルチャーショックを受けた


無駄のなく引き締まった肉体がリズムに合わせて躍動する
その美しい動きがたまらなくセクシーだった


その日から すっかり私は、ダンスの虜…
いや…ミサオの虜になってしまっていた


それから何度かマリのレッスンを見学にいくという口実で教室に通った
レッスンを窓越しに眺めながら目で追うのはマリではなくもちろんミサオの姿ばかり…

気のせいなのかミサオが時折 私の方に視線を送ることがあった
目が合って思わず逸らすことが何度もあった

もしかして…ミサオさんも私を気にしてくれてるのかな
ううん そんなわけないよね 自惚れだよね…そう自分にいい聞かせながら
ミサオにはずっと好きの光線を送っていた

私は不思議なくらい気になった人はかなりの確率で
自分と同じセクシャリティーだったりする きっと自然と引き寄せられるのかもしれない

だから今度も確信していた 
ミサオさんもきっと…そうなんだってこと



それから2ヵ月後の事だった


マリからできちゃった結婚するから
会社もダンスも辞めるんだと聞かされ驚いた


マリがダンス辞めるなら もう教室には行けない
ミサオの姿も見れなくなるんだ…私は落胆した





…少し早送りしてみる





ミサオと偶然に会ったのは、
お気に入りのアーティストの新譜の広告につられて入ったCDショップだった


あ、あのひとは…ミサオさん


視聴コーナーでヘッドフォンをはずし立ち上がるミサオが視界に入った


声かけなきゃ…