TYPRuna&Emi(ルナ&エミpartV



INDEX


                   
  【Sercret rendez-vous】




部屋に上がるエレベーターのなか…
ミサオが腕に廻した私の手に片方の手を重ねた



『こんなHOTELにくるのって なんだか久しぶりだな〜(苦笑)』



『ねっ エミ〜 彼女と来たことある?』



「いえ…ないです…」



『そっか〜』



触れている
ミサオの手が熱く感じる


♪〜


エレベーターが目的の階に到着した


ドアが開くと同時に
するりとミサオから腕から手をほどき
高鳴る胸に手をあてた


少し遅れて歩く私をミサオが振り返る


『あはっ 私だってドキドキしてるよ〜エミ(苦笑)』


(もしかして この胸の鼓動…ミサオに聞えてたのかな…)





赤い絨毯の廊下を進み点滅している号室の前でミサオが立ち止まる



『ここだね…。 さ〜どうぞ 私のシンデレラさん〜(笑)』




白いドアを開き私を促すミサオ



一瞬ルナの顔が過ぎった…


(…ルナ…ごめんなさい…でも大丈夫よ 今夜はただ眠りたいだけだから)







ミサオが冷蔵庫から二つの缶をもってソファの私の隣に腰を下ろした



『はい エミ〜♪』



手渡されたのはよく冷えた缶入りコーヒー



『ビールやカクテルもあったけど もうお酒は飲まないでしょ?』



「ええ…ミサオさんは?」


『う〜ん ホントはね まだ飲みたいけどさ〜
これ以上飲んで酔うと自分を見失ってしまいそうだし…コーヒーで我慢するわ(苦笑)』


プルタブを引きながら 乾杯〜♪とミサオが缶コーヒーを軽くぶつけた






ふたりで缶コーヒーを一口飲みテーブルに同時においた



そのタイミングに思わず顔を見合わせ笑った




テーブルの灰皿を見てふと思った…
(そういえばBarでもミサオは1本も煙草を吸っていなかったみたい…)



「ミサオさん 煙草やめたんですか?」



『うん〜、やめたよ ロスに行ってから慣れない環境で精神的ストレスでお酒と煙草の量が増えちゃってね ちょっと身体壊したの  …んで煙草はやめたんだ でもね お酒はやめられなかったぁ(笑)』




「そうだったんですか…」



『エミはよく心配してくれてたね いつも煙草とお酒の量減らしてって言ってくれたよね…。あはっロスではそんな心配してくれる人いなかったからさ…』



ふっと寂しげな目をするミサオに胸が締め付けられた



『ねぇ エミの彼女は煙草吸うの?』



「ええ…」


『じゃあ 同じセリフ言ってんだね きっと…(苦笑)』



「…」



わたしは黙って頷いた





『来週の木曜日、ロスに帰るね…』


「えっ もう 帰っちゃうんですか…」


『うん 向こうの教室も心配だしね』


ミサオが今回、日本に帰国した理由は
なんでも両親が離婚するとかしないとかの揉め事に加え
入院中の叔母の容態が思わしくないと心配事が重なった為だったらしい


『母がね〜父と離婚するんだって何度も国際電話よこすからさ〜
もう30年も連れ添ったんだから 我慢したらって言ったらさ
お前は結婚してないからわかんないんだ…からはじまってお説教のオンパレードよ
たまったもんじゃないわ(苦笑)今夜もね 母とケンカして家にいたくなくてさ それでひとりで飲みに出てきたんだ〜』


「そうなんですか…、いろいろ心配ですね」


『うん 仕方ないさ〜 まっ生きてりゃ自分のことだけじゃなくてさ 色々あるもんよ〜』



ミサオのハスキーな声が響く度に胸がざわめく


二人が並んで座っている
この大きな赤いソファがまた
妙に妖しい雰囲気を演出しているようだった






ミサオがテーブルの上に置かれたリモコンを手に取り
MUSICチャンネルを廻す…



〜Sercret rendez-vous〜


〜止められない 今夜の秘密のランデブー〜♪



そんな曲に…ミサオはチャンネルを合わせた




『ね、エミ〜彼女が愛していない人を抱いたって聞いてショックだったって言ったよね?』



「…うん」



『…私だって…抱いたことあるよ』






                                                      





home