★〜二人のHoly Night〜★
駅前のカフェは
クリスマスカラーで一杯だった

窓にはスノースプレーで形どられたツリーやリース
店内ではクリスマスソングがリピートしてる


亜紀子が、手に持つコーヒーカップに描かれたサンタを指差す


『エミ〜、明日はイブだね♪ちなみに予定は〜』


私の言葉を待つ 亜紀子
知ってるわよ〜と言いたそう微笑んでいる


『ううん・・・ないよ』


首を振る私に 亜紀子が意外そうな顔をした


『えっ〜 エミ〜行かないの?』


『行かないって?どこへ・・』


『シンジに聞いたんだけどね トオルくんのバンドが
スタジオでパーティーも兼ねて演奏するって それでエミも誘ったって言ってたよ』


『うん 誘われたけど・・・』


『私も、シンジとスタジオ寄っていこうって言ってたの〜』


『ね〜ほんとに断ったの?』


『うん・・・』



・・・私は、ルナと過したいの



・・・でも



・・・先週 
忙しいルナとひさしぶりに仕事帰りに会ったときのこと


『ねぇ クリスマス ルナんちで私、ごちそう作ろうかな〜♪』


『エミィー、来週のクリスマス・・・会えないかもしれない』


『えっどうして・・・?イブだけ25日のクリスマスも?』


『うん どっちもなの・・・。クライアント先のパーティーと取材仕事が両日入ってるの』


『そんな〜 寂しいよ ルナ・・・』


『ごめんね エミィ  私が抜けるわけにいかないのよ・・・』


ルナは、仕事がいつも優先だった
それは仕方ないこと わかってる


私と違って仕事ができ才能もあるルナ 
素敵だと思う 尊敬してる 
頑張ってほしいって心から思う


でも時々・・・

ルナを仕事にとられちゃうんじゃと
不安で悲しくなるときもある 

(・・・ルナ寂しい)

そんなことを思いながら
暫く・・・言葉もなく歩く私


そんな私の横顔を見つめるルナ


ビルの通りを並んで歩くルナが、不意にわたしの手を引き
人通りのない路地に入る


『エミィー もし早く帰れそうなら連絡するからね・・・』


泣きそうな顔をして頷く私を
ルナは見つめながら 頬をやさしく包んでくちづけした


ルナの瞳に見つめられるとなにもいえない私


拗ねて我侭を言いたくても
ルナの唇に塞がれると・・・そんな言葉も一緒にとけてしまう



人の足音に・・・慌てて私達は唇を離した





イブの日


私は、賑わうイルミネーションの街に出てみた
どこを歩いても耳に響くSONGはHoly Night〜♪


(今年のイブは土曜日 よけい人が多いのね)
人の波に押されながら歩いていると虚しくなった


途中、亜紀子から電話があった


『エミィ〜 どうしてるの?ねっホントは誰かとデートしてるの?』


『ううん さみしくひとりで彷徨っています(苦笑)』


『それなら〜スタジオに行こうよ シンジが迎えにいってやるって言ってるよ〜』


・・・まったく どうして亜紀子とシンジは
トオルと私をくっつけたがるのかな・・・(苦笑)


『ごめん〜亜紀子 今夜は行けないよ・・・夜は空けとかなきゃだし(笑)』


『えっ 空けとくってなに? さては〜?ちょっと教えなさいよ〜エミー』


『トオルさんによろしく言っておいてね じゃあね〜』


なにかまだ言いかけてる亜紀子だったが・・・電波が届かず途中で切れた



はじめてルナと出会った地下街のあの本屋に来てみた
あの作家の本棚に足が自然に向かう


ルナに借りたあの本・・・まだ返していない(苦笑)
(返却は無期限だっていってたね・・だからいいよね・・)


ルナに贈る本を選んでいた・・・。
私とルナがお気に入りの作家の新刊を見つけた
(これなら新刊だし たぶん読んでいないでしょう)


キレイにラッピングをしてもらったその本を持って
あのCAFEに向かった


窓際のカウンター席に座り
カプチーノを飲みながらしばらく外を眺めていた
6月の雨の日・・・ここでルナと出逢ったんだね

♪〜

メール着信音が鳴った

メールが2通届いていた

1通はルナからだった

そして
もう1通は、トオルからだった


トオルのメールを先に開いた

エミさん 
渡したいものがあるんだ
今夜だめなら・・・
明日は会えないかな
返事待ってるね
       ―トオル


ルナのメールを開いた


今夜はやはり遅くなりそう 
エミごめんね・・・
       ―ルナ


私は、どちらにも返信せず携帯を閉じた



(やはり 遅くなりそう・・エミィ〜ごめんね)


・・・またルナを仕事にとられちゃった・・・くやしい(涙)


雑踏の中 行き交う人に時々弾かれそうになりながら
クリスマスソングが流れる街をしばらく彷徨った


イルミネーションの輝きは 私の心の中で哀しく点滅する


・・・1人で映画でも見ようかな (それも寒いかな(苦笑))
・・・トオルのスタジオに行こうか(ダメダメ〜また誤解されちゃう・・)


恋人達が肩を並べ 腕を組み 手をつなぎ通り過ぎる
幸せそうな笑い声に・・・思わず耳を塞ぎたくなる


ルナといつも待ち合わせをする駅前に自然に足が向いていた


メインターミナルの駅前には巨大なツリーが飾られていた


・・・キレイ(微笑)もう少し見ていたいな


時間はもう午後10時を示していた
・・・イブの夜もあと2時間・・・(寂)


ツリーの前に立つ 待ち合わせのカップル達が
一組 二組と・・・ツリーから離れていく 後姿を 只、羨ましく見送る私


携帯を開いてみた


・・・メールの返事しなかったら ルナは心配してくれるかな?


だめ やっぱり駆け引きみたいなことやめよう
ルナが一番嫌うことだから


・・・やっぱり返事しなきゃ


―ルナへ

遅くまでご苦労様 ルナ
私の分まで・・ご馳走たくさん食べてきてね(笑)
今ね、あの駅前にいるの 
ツリーがとってもキレイよ ルナ
今夜で見納めだし・・・
電車の時間まで もう少し見てるね^^
    
                ―エミ


送信完了で・・・携帯を閉じた

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Runa&Emi(ルナとエミ)
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sozai RELISH 様